臨床倫理指針

臨床倫理指針

令和4年6月30日改訂

基本的人権はもとより当院の「理念・基本方針」、「患者の権利と責務」などに基づき、すべての職員が臨床における様々な問題に対応し、患者さんにとってもっとも望ましい医療を適切かつ十分に提供することを目的として、当院における臨床倫理に関する指針を定めます。

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1.基本原則

  1. 患者さんの利益を最優先とする医療を実践します。
  2. 患者さんには良心をもって平等に接し、その人格や価値観を尊重します。
  3. 患者さんの立場に立った対応を心がけ、良好な信頼関係を築くよう努めます。
  4. 情報を正しく伝え、十分な説明と同意に基づく自己決定を尊重します。
  5. 科学的根拠に基づいた安全・最良な医療を行うよう全力をつくします。
  6. 個人情報やプライバシーを保護し、職務上の守秘義務を遵守します。
  7. 関連法規を遵守し、医療倫理の諸指針を尊重します。

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2.具体的な倫理的課題への対応方針

意識不明・自己判断不能患者への対応について

意識不明や判断能力のない患者さんにおいては、家族など適切な代理人の同意を得て治療に必要な判断と決定を行います。なお、家族など適切な代理人がいない場合や、生命に係わる緊急事態で家族等関係者に連絡がつかない場合は、多職種で検討し、患者さんにとって最善の利益となる方向で治療を行います。

検査・治療・入院の拒否、指示不履行について

患者さんが自律的に判断できる場合、自己決定権を尊重し、望まない治療を拒否することを認めますが、治療による患者さんの利益と不利益などを十分に説明し、慎重に話し合いを重ねます。医療者と患者さんの意向が対立する場合には、必要に応じて臨床倫理委員会に審査を依頼します。

輸血拒否患者への対応について

宗教上の理由などから輸血を拒否される患者さんには、相対的無輸血の立場をとります。

身体拘束について

「身体拘束は人間の尊厳に関わる重大な問題である」と同時に身体的・精神的・社会的弊害をもたらします。身体拘束の必要性があると判断された場合であっても、身体拘束以外の緩やかな手段が考えられればそれを選択するように努めます。また、緊急時やむを得ない場合の対応は、以下の3つの条件を満たすことを確認します。 
① 切迫性:想定外に、患者さん本人または他の患者さん等の生命や身体が危険にさらされる可能性が著しく高いこと 
② 非代替性:身体拘束その他の行動制限を行う以外に代替する治療・看護方法が無いこと 
③ 一時性:身体拘束その他の行動制限が一時的なものであること

終末期の意思決定について

終末期の医療・ケアについては、「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン(2018年:厚生労働省)」に従い、患者さん・家族と相談のうえ、患者さんの意思に基づいた医療を行います。また、可能な限り、疼痛やその他の不快な症状を緩和し、精神的・社会的援助も含めた総合的な医療・ケアを行います。当院では、専門的な知識や技術を有する緩和ケアチームの支援が可能です。

心肺蘇生不要(DNAR)について

心肺蘇生術(CPR)の有効性について、終末期・老衰・救命不能な患者さんまたは意識回復が見込めない場合、患者さんやその家族に対して十分な説明をしたうえで、心肺蘇生術を行わない意思を示された場合は、その意思を尊重します。ただし、いかなる場合も積極的な安楽死や自殺幇助は認めません。

苦痛緩和のための鎮静について

終末期の耐えがたい苦痛を緩和するための鎮静(セデーション)については、「がん患者の治療抵抗性の苦痛と鎮静に関する基本的な考え方の手引き」(日本緩和医療学会2018年版)等を参照し、多職種で安全性や倫理的妥当性を検討します。あらかじめ医学的・倫理的・法的妥当性を充分に吟味する必要がある場合は、緩和ケアチームへ相談します。

虐待について

小児、高齢者、障害者への虐待が疑われた場合には、当院の「虐待対応マニュアル」に従って対応します。

臓器提供、法的脳死判定について

厚生労働省の「臓器の移植に関する法律」の運用に関する指針(ガイドライン)を遵守して行います。臓器提供については「岐阜市民病院脳死下臓器提供マニュアル」を遵守して行います。
臓器提供の意思は、臓器提供意思表示カード、健康保健証・運転免許証・マイナンバーカードの意思表示欄、その他の意思表示書類などで確認し積極的に尊重します。

その他の倫理的問題

本臨床倫理指針の原則に従い判断しますが判断が困難な場合には臨床倫理委員会にて検討します。

平成19年8月7日制定
令和4年6月30日改定
岐阜市民病院臨床倫理委員会

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