皮膚悪性腫瘍(皮膚がん)

はじめに

腫瘍には悪性のものと良性のものがあります。悪性の腫瘍の特徴は増殖が速く無限に増殖し、転移をおこしやすく、放置すると生命が脅かされることです。
一方良性の腫瘍は一般的に増殖速度が遅く、あるところで自然に増殖が止まり、転移することはなく、放置しても生命を脅かされることはありません。

皮膚には種々の腫瘍が生じます。大部分のものは母斑細胞母斑(ほくろ)や粉瘤や脂漏性角化症(老人性のいぼ)のような良性腫瘍ですが、稀には悪性腫瘍のこともあります。典型的な腫瘍の場合はわれわれ皮膚科医が見ただけで診断がつきますが、中には診断が難しい場合もあります。ましてや一般の方々には判断の難しいことも多いかと思います。そのような時には自分勝手に判断せず、是非皮膚科を受診することをお勧めします。

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腫瘍の分類

  1. 良性のもの(良性腫瘍)、
  2. 将来悪性になる可能性のあるもの(癌前駆症)、
  3. 悪性ではあるがまだ表皮内にとどまり浸潤していないもの(表皮内癌)、
  4. 悪性のもの(癌)、
  5. 癌に似ているが悪性ではないもの(偽癌)

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悪性腫瘍の分類

1)悪性上皮系腫瘍(癌cancer,carcinoma)

上皮系細胞、すなわち表皮細胞や粘膜上皮の悪性腫瘍です。皮膚では有棘細胞癌、基底細胞癌、パージェット病などがあります。

2)悪性非上皮系腫瘍

(1)悪性間葉系腫瘍(肉腫sarcoma)

結合組織、脈管組織、造血組織など悪性腫瘍で、皮膚では血管肉腫、菌状息肉症などがあります。

(2)悪性神経節起源細胞性腫瘍

色素細胞や母斑細胞などのような神経節起源細胞の悪性腫瘍で、悪性黒色腫がその代表。

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代表的な皮膚悪性腫瘍

有棘細胞癌
表皮の有棘細胞に似た細胞よりなる癌で、進行すると転移を起こし、死亡に至ります。治療は手術、化学療法、放射線治療などです。
基底細胞癌
顔面に多く日本人では黒色のものがほとんどです。転移することは極稀ですが、放置すると浸潤性にどんどん拡大し潰瘍を形成し、悲惨な状態になります。治療は手術が主体です。
ボーエン病
類円形の鱗屑や痂皮を付着する紅斑局面のことが多く、びらんや潰瘍を伴うこともあります。表皮内に限局して癌が生じたもので、進行すると有棘細胞癌になります。治療は手術、放射線などです。
パージェット病(癌)
乳房や外陰部に生じる腺組織の癌です。はじめは紅斑や色素斑で始まり、びらんを伴うこともあります。湿疹や他の皮膚疾患と間違われることがあり要注意です。初期は癌組織は表皮内に留まりパージェット病と呼ばれます。進行すると真皮に浸潤しパージェット癌となります。治療は手術が中心です。
悪性黒色腫
いわゆる"ほくろの癌"と呼ばれるもので、皮膚悪性腫瘍の中で予後の悪い腫瘍です。日本人は足の裏に生じることが比較的多く、足に黒色斑が生じた場合は注意する必要があります。治療は手術、化学療法(DAV-フェロン、DAC-Tam)などです。
血管肉腫
頭に紅斑あるいは紅色の結節として生じる比較的稀な血管系の腫瘍です。予後は良くありません。治療は手術、インターロイキン2、化学療法などです。
菌状息肉症
リンパ腫の一型で、紅斑期、扁平浸潤期、腫瘤期の3期があり、何年かかかって、徐々に進行してゆきます。治療:ステロイド外用、PUVA、インターフェロン-gamma、放射線、化学療法などです。
転移性皮膚癌
結節を形成することがほとんどです。胃癌、乳癌、肺癌、大腸癌などからの転移が多く、皮膚転移から元の癌が発見されることもあります。

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鑑別診断

デルモスコープ:一番問題となるのは、ほくろと悪性黒色種の鑑別です。当皮膚科ではデルモスコープ(25倍~175倍に拡大して見る医療機器)を用いて鑑別診断を行っています。特に足底の色素斑の鑑別には有用で、ほくろと悪性腫瘍をかなりうまく区別できます。

ABCDクライテリア:
Asymmetory:非対称性であるかどうか
Border irregularity:境界が不規則かどうか
Color variegation:色調にむらがあるかどうか
Diameter enlargement:直径の拡大
このABCDにあてはまるような場合は要注意です。

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