歯科・口腔外科のがん

はじめに

平成13年度までの当科の治療は、一般歯科治療が主体でした。しかし、平成14年度より病診連携がすすめられ、更に岐阜市病院事業の条例の一部を改正する条例によって診療標榜科名が歯科、歯科・口腔外科となり、治療の中心は口腔外科的疾患に移行しつつあります。

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歯科・口腔外科におけるがんとは

歯科・口腔外科が治療の対象とする"がん"は主に舌がん、口底(口腔底)がん、頬粘膜がん、歯肉がん、口唇がん、といった"固形がん"ですが、"がん"の大きさ(進展状態)によって治療法は異なります。

歯科口腔科のがん1

歯科口腔科のがん2

歯科・口腔外科における治療方針について

基本的に小さなものであれば、摘出術を先行さ、大きなものであれば、放射線照射および化学療法(抗がん剤)を先行させ、"がん"の縮小後に手術を検討します。
再建外科が発達した今日では、腫瘍を含めた十分な切除範囲を設定した手術も可能になってきましたが、食べる・話す・味わう・さらに審美性が求められる顔面・口腔領域においては、それらの機能等をいかに保持できるかが大切な点と思われます。各臓器の機能を保持し"がん"だけを無くせれば一番すばらしいことですが・・・・・・その一つとして"がん"だけが※アポトーシス(プログラム死)を起こしてくれればいいのですが・・・・

※アポトーシス
細胞死の一つで、プログラム細胞死の多くが本質的にアポトーシスによっていると考えられるようになってきています。(自分自身の細胞を自分自身で殺すという意味です。)例えとして胎児の手指には水掻きが付いていますが、成長と共に不要な水掻きの部分は消失し必要とする部分は残ります。

いままで、私どもは活性酸素種による抗腫瘍効果について研究を行ってきました。活性酸素種に対しては今まで正常細胞の悪性化をよく耳にしますが、その一方で"がん"に対する抗がん剤や放射線の効果の一部は活性酸素種によるとされています。
何故、抗がん作用を示すかといいますと、正常細胞に比べ"がん"細胞は抗酸化酵素(スーパーオキサイドディスムターゼ=SOD)活性の低下が挙げられ、このSOD活性の差によって抗腫瘍効果を示すものと思われます。私どもの研究の結果(動物実験)としましては、活性酸素種は抗腫瘍効果を示し、組織学的には腫瘍組織にアポトーシスを多く示すというものでした。以上の研究結果を踏まえ、臨床応用を検討し、当院倫理委員会の承認が得られました。

術式は、口腔がんに対して通常施行されている浅側頭動脈カニュレーションのカテーテルをバルーン付きカテーテルに換え、バルーンの膨張・縮小による血流の虚血・再灌流を起こし腫瘍部分に活性酸素種を発生させるというもので、適応並びに医学倫理的配慮については以下に示します。

  • 局所に限定した腫瘍を対象としますので、全身他部位への転移等が認められれば本術式は対象外となります。
  • 腫瘍の最大径が4cm以下で、隣接臓器への浸潤の無い比較的小さなものであれば、手術した方が治癒が早く、機能障害もさほど無いため、本術式は行いません。ただし、腫瘍の大きさ等にかかわらず何らかの理由(他の疾患による影響、手術拒否、等)で手術が出来ない場合は本術式の対象になります。
  • 抗がん剤による治療が不可能な場合は、放射線照射とバルーン付きカテーテルによる活性酸素種の治療を行います。
  • 放射線照射による治療が不可能な場合は、抗がん剤の投与とバルーン付きカテーテルによる活性酸素種の治療を行います。
  • 抗癌剤と放射線照射による治療が不可能な場合は、バルーン付きカテーテルによる活性酸素種の治療を行います。
  • 本術式による治療途中に腫瘍の増大傾向が認められた場合はただちに中止します。
  • 得られた結果は、学術以外に公表しません。

以下に術式の説明図およびバルーン付きカテーテル挿入時の想定状態を示します。

説明図

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バルーン付きカテーテル挿入時の想定状態

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