子宮がん

1.はじめに

産婦人科領域の癌は、ほとんどが子宮および卵巣から発生するものです。子宮には子宮の入り口にできる子宮頚癌と子宮内膜にできる子宮体癌があります。
日本では30年くらい前までは婦人科の癌の95%は子宮頚癌で、子宮体癌や卵巣癌はほとんどありませんでした。ここ10年ほどは子宮頚癌が1/3,子宮体癌が1/3,卵巣癌が1/3というように子宮頚癌が減少し、子宮体癌や卵巣癌が増加してきました。以前は婦人科の癌はどちらかというと高年齢の方が多かったのですが、最近では若い年代の方にも増加しております。特に子宮頚癌は10代や20代の方に増加傾向が見られます。

▲ページの先頭へ

2.婦人科癌の推定される原因

最近の研究により原因や誘因というものがある程度わかってきました。

  1. 子宮頚癌
    子宮頚癌は人パピロマビールス(HPV)に感染することが必要条件と考えられています。このため性病の1つという考えも成り立ちます。この他に発症の後押しをするものとして、他の性病や煙草が考えられています。最近の若年者の子宮頚癌が増加しているのも、一部の若者での性交相手が多人数になっていることや、若年女性の喫煙者が多くなっていることが原因となっていると思われます。
  2. 子宮体癌
    エストロゲンというホルモンは子宮内膜を肥厚増殖させる働きがあります。通常の成熟年齢の婦人では、排卵前にはエストロゲンが、また排卵後にはエストロゲンとプロゲステロンというホルモンが分泌されています。
    子宮体癌は常にエストロゲンのみに曝されているときに発生することがわかっていますし、プロゲステロンが癌発症や癌進行に対して抑制的に作用することがわかっています。
    エストロゲンに常に曝されているのは無排卵月経の方や肥満の方です(肥満の方は閉経後も皮下脂肪でエストロゲンが作られます)。このようなことから子宮体癌は肥満の方に多く見られます。
  3. 卵巣癌
    卵巣癌は月経回数の多い方に発生しやすいと言われています。
    100年前は日本でも、通常初経年齢は18歳頃で、その後も3年ごとくらいで40歳過ぎまで妊娠出産を繰り返しておりました。こういう時代では妊娠中および授乳中には無月経となり、一生のうちで月経回数は50回程度であったようです。
    近年では少子化をはじめとする生活習慣の変化に伴い、妊娠回数の減少、授乳期間の短縮ということで無月経の期間が短縮し一生の間の月経回数は500回にもなっており、100年前に比して10倍にもなっています。月経回数が増加しているということは、当然その前に排卵が起こっています。排卵に因る卵巣の傷害が卵巣癌の原因の一つと考えられております。

▲ページの先頭へ

3.婦人科癌に罹らないようにするには

今説明しましたようにある程度の原因はわかっておりますので対策は立てられます。

  1. 子宮頚癌に対しては
    性病であるということから、コンドームの使用や、煙草の煙を避けるということになります。
  2. 子宮体癌
    エストロゲンは単独では発癌に対して促進的に、またプロゲステロンが存在すると発癌に対し抑制的に作用することがわかっています。つまり、排卵後のようにエストロゲンとプロゲステロンが共存するホルモン状態を人工的に作ると発癌が抑制されると考えられます。また肥満の方は減量も一つの選択肢です。
  3. 卵巣癌
    卵巣に傷害を受けさせないようにするには、理論上は排卵を止めれば有効であると考えられます。
  4. 子宮体癌や卵巣癌に対しては
    前に述べました2)、3)から、子宮体癌と卵巣癌では、避妊用のピル(エストロゲンとプロゲステロンの合剤)を使用することによりある程度防ぐことができると考えられます。現実に外国では2年間のピル使用により子宮体癌や卵巣癌は半分とか1/4に減るというデーターが出ております。

▲ページの先頭へ

4.産婦人科の癌統計(表参照)

表 産婦人科癌手術統計

年度 2010年2011年2012年2013年2014年2015年2016年
子宮頸部高度異形成(含上皮内癌) 17 35 22 13 23 40 35
子宮頸癌 10 4 2 1 3 5 11
子宮体癌 4 7 11 8 5 11 13
卵巣癌(含境界悪性・卵管癌) 5 1 5 7 6 14 10
その他悪性腫瘍 0 1 0 0 0 1 1
合 計 36 48 40 29 37 71 70

▲ページの先頭へ


ページの先頭へ