中央検査部 血液(貧血)の検査
血液(生化学)の検査
《Fe:血清鉄、TIBC:総鉄結合能、UIBC:不飽和鉄結合能》
生体内鉄は2/3がヘモグロビン内に1/3が肝臓や膵臓に存在します。鉄欠乏、鉄過剰、貧血のある時に行われる検査です。血清鉄は再生不良性貧血、溶血性貧血、鉄過剰症などで高くなり、鉄欠乏性貧血、真性多血症、慢性感染症などで低くなります。総鉄結合能、不飽和鉄結合能は鉄欠乏性貧血、真性多血症などで高くなり、鉄過剰症、慢性感染症、肝炎などで低くなります。また、不飽和鉄結合能は再生不良性貧血でも低くなります。
《FER:フェリチン》
フェリチンは肝臓、脾臓、心臓など各種臓器に分布しています。血中にも微量のフェリチンが存在し、体内鉄貯蔵量を反映して変動します。悪性腫瘍、肝障害、心筋梗塞、感染症などでは組織破壊によってフェリチンが血中に流れ込むため、貯蔵鉄量とは無関係に上昇します。
血液(血算)の検査
血液には白血球・赤血球・血小板の3種類の血液細胞があり、これらは主に骨髄(胸骨や腸骨の中)で造られます。それらの血球の種類などを検査することにより、炎症の度合いや貧血の程度が分かります。
《白血球》
白血球には好中球・好酸球・好塩基球・リンパ球・単球があります。体内に侵入した細菌やウイルスなどを排除する働きがあります。感染症や血液疾患で増減します。
《赤血球》
全身に酸素を運び二酸化炭素を受け取る働きをします。赤血球が減ると貧血になります。
《ヘモグロビン》
赤血球に含まれる色素で、この色素が酸素と結合することによって赤血球は酸素を運ぶことができます。貧血で低下します。
《血小板》
出血を止める働きがあります。少ないと止血しにくくなります。
血液(凝固)の検査
血液がきちんと固まり、正常に止血する機能があるか調べる検査です。
《PT:プロトロンビン》
血液の凝固異常を調べる検査です。凝固因子異常疾患や肝疾患などの検査に用いられます。また、抗凝固薬のコントロールにも使用されます。
《APTT:活性化部分トロンボプラスチン時間》
血液の内因系凝固因子といわれる凝固活性を総合的に反映する検査です。血友病などの出血性疾患の検査に用いられます。
《フィブリノゲン》
止血や血栓形成に必要な成分です。肝疾患で低下、炎症や悪性腫瘍などで増加します。極端に低下すると出血傾向が出現します。
《FDP/Dダイマー》
FDPは血栓溶解時にできるフィブリンやフィブリノゲン分解産物の総称です。DダイマーはFDPの一部です。FDPとDダイマーが高値の時には、体内で血栓ができていることを意味します。特にDダイマーは深部静脈血栓症や肺血栓塞栓症の診断に有用です。
《ATⅢ:アンチトロンビンⅢ》
肝臓で作られ、血液が過剰に固まらないようにする働きがあります。肝疾患や血栓症、重症感染症で低下します。
《SF:可溶性フィブリン》
フィブリノゲンが、トロンビンの作用によってフィブリンへ転換されていく過程で生成される中間産物で、血栓傾向を示す分子マーカーであるとともに血栓症のリスクファクターであると考えられています。