平成30年度 第8回市民公開講座の様子

平成30年度 第8回岐阜市民病院公開講座実績

平成30年度第8回(通算94回)岐阜市民病院公開講座を開催しました

日時
平成30年11月17日(土)
午後2時30分~午後4時
講演内容
くらしに生かす漢方の知恵
岐阜市薬剤師会 漢方薬・生薬認定薬剤師 朝倉 恵美子先生
病気は薬なしで治るのか?漢方とは!?漢方って何?
岐阜市民病院 薬剤部 漢方薬・生薬認定薬剤師 渡邉 久高
抗生物質(内服薬)について考えよう~あなたは抗生物質が処方されたらどうしますか~
岐阜市民病院 薬剤部 抗菌化学療法認定薬剤師 青山 

平成30年11月17日(土)、岐阜市民病院内西診療棟4階サルビアホールにおいて、岐阜市薬剤師会 漢方薬・生薬認定薬剤師 朝倉恵美子先生から、「くらしに生かす漢方の知恵」を、当院の薬剤部 漢方薬・生薬認定薬剤師 渡邉久高から、「病気は薬なしで治るのか?漢方とは!?「漢方って何?」を、薬剤部 抗菌化学療法認定薬剤師 青山 智から、「抗生物質(内服薬)について考えよう~あなたは抗生物質が処方されたらどうしますか~」を、テ-マに講演を行いました。当日は参加者数、約100名と多くの方にお集まりいただきました。
また、講演会終了後、質疑応答を受けるとともに、アンケートにもご協力いただき、盛況のうちに終了できました。
なお、次回は、平成30年12月15日(土)に、消化器内科 杉山智彦から、「~最新のお腹の治療法~大腸癌は内視鏡治療で治る?」を、消化器内科 林 秀樹から、「『放置は厳禁!! 脂肪肝』」を、消化器内科 向井 強から、「膵臓癌を早く見つけるには?」 を、テ-マに講演を予定していますので、ぜひご参加ください。

(講演内容については、要約を掲載

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挨拶をする 薬剤部長 後藤千寿 講演をする 岐阜市薬剤師会
漢方薬・生薬認定薬剤師 朝倉恵美子先生
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講演をする
薬剤部 漢方薬・生薬認定薬剤師 渡邉久高
講演をする
薬剤部 抗菌化学療法認定薬剤師 青山 智
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質疑に答える 講演者

講演要約

「くらしに生かす漢方の知恵」
岐阜市薬剤師会 漢方薬・生薬認定薬剤師 朝倉恵美子先生

「暮らしに生かす漢方の知恵」を題材に漢方薬と最近話題になっているシナモンについてお話させていただきました。
まず、中医学には漢方薬、薬膳(食養生)、生活養生、鍼灸・指圧・気功などが含まれ、「薬食同源」という思想があります。その「薬食同源」とは、体によい食材を日常的に食べて健康を保てば、特に薬などを必要とされないと言われています。また、食材の使い方によっても体への様々な作用をもたらすことができると言われています。
例えば、「しょうが」は風邪の場合、生で食べると解表剤として体表血管を拡張して発汗を促す作用が強く出るのに対して、体の冷えがある場合、加熱して食べると温補剤として体を温める作用が強く出ます。このように漢方の知識を生かしていくことで病気になりにくい体を保つことができます。
また最近ではTVやインターネットでシナモン(≒ケイヒ)がゴースト血管防止や毛細血管増加に良いと話題になっています。シナモンとは熱帯各地で幅広く栽培されているクスノキ科の常緑樹の樹皮を乾燥させた香辛料で、シナモンロールやシナモンシュガーなどに使われています。その独特の香りは、「八つ橋」に似た香りがあります。しかし、八つ橋には同じクスノキ科のニッキが使用されており、日本で販売されているシナモンパウダーにはセイロンシナモンだけでなく、漢方薬で使われるケイヒと同じカシアシナモンが入ったものが多くあります。実際にTVで紹介された際の服用量は様々(週2回 1日0.6g~1日 1g)ありましたが、第3類医薬品として売られているケイヒ末は1日3回 1回 0.3gで胃弱,食欲不振などに効き、漢方薬として使用されている時に使用するケイヒは煎じて 1日1~4gで発汗,活血化(≒微小循環改善作用,≒毛細血管増加作用),温補,健胃として効きます。ただし、クマリンと呼ばれる物質が多く含まれているため肝障害のリスクがあります。そのため、シナモンの過剰摂取や葛根湯などのケイヒ含有漢方薬との併用にも注意が必要になってきます。
漢方薬やそれに使用されている生薬は有効で安全な量と組み合わせで作用が変化してきます。健康情報などを利用し服用する際は注意を払い、場合により医師や薬剤師に相談していただければと思います。

「病気は薬なしで治るのか?漢方とは!?「漢方って何?」
薬剤部 漢方薬・生薬 認定薬剤師 渡邉久高

市民公開講座にて「漢方薬って何?」という題材でお話しさせて頂きました。そこでは①東洋医学の歴史,②漢方薬と食品・健康食品の違い,③漢方薬と西洋薬について,④漢方薬の選び方・考え方について説明しました。
まず、東洋医学とは、中国が起源の伝統医学で約6世紀に日本に伝わってきました。江戸時代に、オランダから伝わってきた蘭方医学と対比するために東洋医学と呼ばれるようになりました。東洋医学は生薬や漢方薬だけでなくお灸や鍼も含まれています。
次に漢方薬は医学書である傷寒雑病論に生薬の組み合わせや量,効能も記載されており、複数の生薬を用います。その生薬とは天然に存在する薬効を持つ植物や鉱物などから有効成分を精製することなく体質の改善を目的として用いる薬の総称で、普段何気なく食べられている事が多いです。例えば生姜があります。漢方薬では「生姜(しょうきょう),乾姜(かんきょう)」と呼ばれ葛根湯などに含まれています。ただし、厳密にいうと生薬は薬として効果を発揮するために日本薬局方とよばれる法律によって成分や純度,起源植物の規定があり、食品とは異なります。
そして薬効を持つ物から有効成分を精製合成したものが西洋薬と呼ばれています。その西洋薬の多くは単一成分で病気に対してピンポイントに効くお薬が多いです。一方、漢方薬は様々な生薬を用いており、たくさんの成分を多く含むので病気だけでなく不定愁訴や検査には表れにくいちょっとした不調を正常に戻す効果があります。そのため西洋薬から漢方薬へ切り替えることで服用している薬が減る可能性があると言われており、注目が集まっています。
漢方薬の選び方・考え方も西洋薬と異なります。西洋薬では症状や病名で薬を選ぶのに対して漢方薬は証(症状や体質,体格などの要素)を確認し、薬を決めます。その証を知るために漢方薬独自の概念や知識を知っておく必要があります。
その中でも「虚実」や「寒熱」の体質を知る概念と病気の原因となる「気血水」の概念を知っていれば同じような症状が書いてあるパッケージであっても、どの漢方薬を選ぶべきなのかわかると言われています。
最近では、漢方薬は薬局や薬店などで選んで買うことが出来ます。ただ、自分に合わない漢方薬を飲んでしまうと副作用が出てしまったり、効果がなかったりするので、わからない場合は近くの医師や薬剤師にご相談してください。

「抗生物質(内服薬)について考えよう
~あなたは抗生物質が処方されたらどうしますか~」

薬剤部 抗菌化学療法認定薬剤師 青山 智

抗微生物薬は微生物が増えるのを抑えたり、壊したりする薬です。細菌に使用する抗微生物薬を抗生物質といいます。抗生物質が使用されると、抗生物質の効く細菌はいなくなり、効かない細菌が生き残ります。生き残った細菌は薬剤耐性(Antimicrobial Resistance:AMR)を獲得しており、近年、細菌のAMRが注目されています。
抗生物質は新たに開発されている薬剤が激減しており、現在のまま何も対策を講じないで放置をすると、2050年にはAMRが原因で約1000万人が死亡すると予想されており、その対策が急務となっています。2016に日本で開催された伊勢志摩サミットにおいて、AMR対策強化が盛り込まれました。サミットでの対策強化を受け、厚生労働省ではその年に「AMRアクションプラン2016-2020」を策定しました。プランの内容は、6つの柱からなり、その中に抗生物質の適正使用と普及啓発・教育の2つがあります。
風邪やインフルエンザはウイルスが原因になることがほとんどであり、抗生物質は原則必要ありません。2017年6月には、厚生労働省が「抗微生物薬適正使用の手引き」を作成したことで、開業医が抗生物質を処方する割合は減少していると思われます。ただし、抗生物質が処方された場合は以下の4つを守っていただくことが重要です。
①医師の指示通り飲み切りましょう
②抗生物質をあげたりもらったりしてはいけません
③抗生物質をとっておいたり別の機会に飲んではいけません
④わからないことは医師や薬剤師に聞きましょう
また、抗生物質は動物の医療や、畜水産・農業などいろいろな分野でも使用されており、分野を超え連携して薬剤耐性に取り組むことが大切です。
一方、感染症は日頃からの予防が大切で、手洗い、咳エチケットやワクチン接種が重要です。手が汚れている場合は石けんで汚れを洗い流し、目に見えて汚れがない場合は消毒用アルコールを使用して手の消毒を行いましょう。医療機関の出入口付近には消毒用アルコールが設置されていることが多く、冬場には特に積極的にご活用ください。また、咳エチケットについては、マスクをつける際は、鼻から顎まですっぽり覆うように着用してください。マスクがない場合は、ティッシュやハンカチで覆ったり、袖の内側で口と鼻を覆ってもよいです。
感染症はワクチン接種で予防できるものがたくさんあります。ワクチン接種を行うことで、個人を守るだけでなく、ワクチン接種ができない人を守ることができるため、接種可能であればワクチン接種を行いましょう。


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