令和元年度 第9回岐阜市民病院公開講座の様子

令和元年度 第9回岐阜市民病院公開講座実績

令和元年度 第9回(通算107回)岐阜市民病院公開講座を開催しました

日時
令和元年12月21日(土)
午後2時30分~午後4時
講演内容
リウマチ・膠原病診療の進歩
総合診療・リウマチ膠原病センター(診療顧問) 石塚 達夫

令和元年12月21日(土)、岐阜市民病院内西診療棟4階サルビアホールにおいて、総合診療・リウマチ膠原病センター(診療顧問)石塚達夫から、「リウマチ・膠原病診療の進歩」を、テーマに講演を行いました。当日は参加者数、約100名と多くの方にお集まりいただきましたました。
また、講演会終了後、質疑応答を受けるとともに、アンケートにもご協力いただき、盛況のうちに終了できました。
なお、次回は、令和2年1月25日(土)に、歯科部兼歯科口腔外科部医員 中島教行から、「周術期口腔ケアってご存知ですか?」を、歯科口腔外科部レジデント北村 優から、「お口も老化するの?~口腔機能低下症について~」を、テーマに講演を予定していますので、ぜひご参加ください。

(講演内容については、要約を掲載

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挨拶 講演 質疑に答える 
総合診療・リウマチ膠原病 センター(診療顧問) 石塚達夫

講演要約

「リウマチ・膠原病診療の進歩」
岐阜市民病院 総合診療・リウマチ膠原病 センター (診療顧問) 石塚 達夫

リウマチ膠原病という名前は1942年にKlempererが関節リウマチ,全身性エリテマトーデスなどの6疾患を膠原病という名称を提唱した。即ち、膠原線維の変性が主たる病態であるとした。しかし、最近では血管炎、IgG4関連疾患など新たな疾患も加わり、リウマチ性疾患( Rheumatology)という名前で呼ばれる。欧米の教科書で膠原病(Collagen disease)という名称は見かけなくなっている。日本では社会的にも膠原病という名前が浸透しているので、使用されている。

リウマチ膠原病のなかで最も頻度が高いのが関節リウマチである。語源は医学の父ヒポクラテスが体の各部へ粘液が流れだし、関節に貯まって痛みを引き起こす事よりギリシア語の流れ(rhuema)に由来する。病態は細菌、ウイルス感染、喫煙などの環境因子や遺伝子(体質)が引き起こす免疫異常により、骨、軟骨、血管、内蔵に炎症を引き起こす病気である。その中で最も頻度が高いのが関節リウマチである。日本の患者数は約70−80万人であり、女性が男性の4倍多い。働き盛りの40-50歳代にそのピークがあり、社会生活に支障を来す。最近は高齢者の関節リウマチが増加し、喫煙との因果関係が示されている。関節リウマチは、関節に痛みや腫れを起こす病気で、手足のみならず全身のどの関節も侵す可能性がある。適切な治療を受けないと、侵された関節は破壊され、関節としての機能が低下する。また、関節以外の内臓などにも障害が起きることがあり、時には生命にもかかわる場合がある。関節リウマチは自己免疫疾患の1つで,本来、ウイルス、細菌感染から自分の体を守る免疫反応が過剰となり、発症する。治療法の進歩により、進行をかなり食い止めることは可能になってきた。

症状は、多くの場合手や足の関節から始まるが、特に、指の第2関節や指のつけ根の関節に、症状が現れることが多いが、指の第1関節が侵されることは稀である。関節のみならず、他の臓器にも現れることがある。だるさや発熱、食欲不振、体重の減少、貧血、皮下結節(リウマトイド結節)ができる場合がある。間質性肺炎、心膜炎、動脈炎、神経炎、筋炎なども発症する事がある。

治療法は最近、飛躍的に進歩している。当初は、痛みをとるNSAIDs(解熱鎮痛薬)が関節リウマチの治療であったが、抗リウマチ薬の登場により効果は弱いながらも関節の疾患活動性を抑え、関節破壊を緩やかに遅延させることが可能となった。更に、関節リウマチの治療の主流といえる生物学的製剤の登場により、強力な疾患活動性の抑制や、完全な関節破壊の進展抑制が可能となってきた。特に、20年前に登場した生物学的製剤は強力にTNFαというサイトカインを抑え、臨床的寛解、更には抗リウマチ薬も含めて全ての薬剤が休薬できる可能性にまで到達している。これに加えてIL6というサイトカイン(炎症を惹起するホルモン)の働きを阻害する薬や、リンパ球のサイトカイン産生のシグナルを押さえる注射薬や、各種サイトカインの作用を特異的に押さえる飲み薬まで開発されている。今や、国内外における関節リウマチ治療のエビデンスは多数確立され、「関節リウマチが治癒する」という関節リウマチ治療の新しい未来を切り開く可能性にまで来ている。

一方、殆どが国の指定する難病疾患である膠原病も徐々に疾患活動性を制御する機構が解明されつつあり、難治性である全身性エリテマトーデスに対してもBリンパ球という抗体産生細胞の抑制注射薬や過剰な免疫反応を制御する経口薬を併用して、臨床的寛解へと導入する治療法が認可されている。その他、強皮症、皮膚筋炎、血管炎に対する特異的な治療方法が開発されている。日本人が発見した高安動脈炎の治療に応用され、副作用の強いステロイドホルモンの減量、中止にまで可能なIL6阻害薬が効果を発揮している。今後、免疫の領域における基礎的研究は進歩しており、将来的にはさらに難病に苦労する患者さんには光明となる治療方法が認可されると考えられる。

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