平成26年度 第7回公開講座の様子

平成26年度 第7回岐阜市民病院公開講座実績

平成26年度第7回岐阜市民病院公開講座を開催しました

日時
平成26年11月29日(土)
午後2時30分~午後4時
講演内容

1.正しく知ろう認知症
岐阜市民病院神経内科部医長  山田 恵
2.認知機能の検査方法
岐阜市民病院臨床心理士 神戸 誠
3.認知症の方が利用できる制度
岐阜市民病院医事課医療相談係長 仲田明子

平成平成26年11月29日(土)、岐阜市民病院内西診療棟4階サルビアホールにおいて、平成26年度第7回(通算47回)岐阜市民病院公開講座を開催しました。
正しく知ろう認知症についてと題して、岐阜市民病院神経内科部医長山田 恵、続いて認知機能の検査方法と題して、岐阜市民病院臨床心理士神戸 誠、最後に、認知症の方が利用できる制度と題して岐阜市民病院医事課医療相談係長仲田明子からの講演を開催しました。 当日は、160人の市民にお集まりいただきありがとうございました。質疑応答もあり、盛況のうちに公開講座を終了しました。また、ア ンケ-トにもご協力いたただきありがとうございました。
(講演内容については、要約を掲載

なお、次回は、12月20日(土)に、消化器外科領域における腹痛1、肝・胆・膵領域と題して、岐阜市民病院肝・胆・膵外科部長足立尊仁から
次に、消化器外科領域における腹痛2、消化管領域と題して、岐阜市民病院外科部医長八幡和憲からの講演を予定していますので、次回も出席くださるようお願いします。

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挨拶をする
診療局長里見和夫及び講演者
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講演をする
神経内科部医長 山田恵
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講演をする
臨床心理士 神戸 誠
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講演をする
医事課医療相談係長 仲田明子

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講演要約

正しく知ろう認知症について
岐阜市民病院神経内科部医長 山田 恵

近年患者数が非常に増加している認知症とどのように付き合っていけばよいのか、以下の4点につきお話ししました。
1、認知症とは?
認知症は、「少し前のことを忘れる」「日付がわからない」といった物忘れに加え、判断力の低下・計画立てて行動できないなどの生活への不都合がみられます。また、物事の体験全体を忘れてしまう、といった特徴があります。
2、どうやって診断するの?
いつからどのような症状があるのか、日常生活に困っていることはなにか、などの問診が重要となります。ぜひご家族の方もご一緒に受診して下さい。問診・診察・検査(神経心理検査、血液検査、画像検査など)を行い診断します。(神経心理検査の詳細は神戸先生の講演にあります)
大半の方が徐々に物忘れがすすんできた、といった経過を訴えられます。このような認知症で最も多いのがアルツハイマー型認知症です。アルツハイマー型認知症では、記憶障害、判断力低下、日付がわからないなど、誰にでもみられる症状の他、怒りっぽくなる、意欲がなくなる、不安、幻覚など、患者さんの周りを取り巻く環境によって左右される症状などがみられます。またその他にも認知症には様々な種類がありますので、気になる症状が現れたら受診をおすすめします。
3、認知症と診断された...治療はあるの?
症状を遅らせたり、症状を和らげたりするお薬があります。また生活・介護に支障がある場合は、介護保険等の申請を行いサービスの利用を検討します。
4、どうやって生活していけばいいの?
患者さんの生活には特に制限はありません。十分な栄養をとり、適度に運動を行い、自分でできることは自分で行う、といった生活が理想的です。介護者の方の心がけとしては、患者さんに安心感を与えられるように、ペースを合わせるなどがあげられますが、ご家族だけで抱え込まずに早い段階で福祉・介護サービスを利用するのがよいと思います。認知症と診断がつくことで、症状の進行を遅らせる薬を早期から使えることができたり、認知症のタイプがわかることにより、ケアの方法や今後の展望につき予測することができます。周囲の理解も得られやすいなど、生活しやすい環境を整えることもできるため、認知症が心配な方は早めにご相談下さい。

認知機能の検査方法
岐阜市民病院臨床心理士 神戸 誠

認知症と診断するためには、認知機能の障害により社会的または職業的機能が著しく低下していることという基準があり、その判断には認知機能検査を通して自分の置かれた状況に対しての判断や行動が生活に支障をきたす程度になっているか否かを調べる必要があります。認知症では原因疾患ごとに特徴的な認知機能障害があって、例えばアルツハイマー病では記憶障害が顕著に認められます。長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)は日本で使用頻度の高いスクリーニング検査の一つで、短時間で実施できて記憶障害に鋭敏であるため、アルツハイマー病の診断にとても役立っています。しかし、記憶の加齢性変化が顕著となる超高齢期以降ではどうしても鑑別能が低下しますので、記憶障害以外の認知機能障害を検査することが診断上、重要な意味を持ってきます。認知機能検査はできるだけ簡便な方がよいのですが、こうした理由から10数種類の検査が必要となってしまいます。これも早期発見・早期治療、あるいは環境調整や生活上の工夫、介護上の留意点を明らかにするためです。当院で認知機能の検査を受ける場合は、まず神経内科を受診し、検査予約をしていただきます。検査時間は2時間ほどかかりますので、ご負担になると思いますがご理解とご協力をお願いします。
尚、検査当日には眼鏡や補聴器の携行をお願いします。また、ご家族からご家庭での状況をお伺いすることがございますので、その点もご了承ください。

認知症の方が利用できる制度
医事課医療相談係長 仲田明子

1、認知症かも?と思ったらまず病院で受診を
受診することに「ためらい」があるかもしれません。しかし、受診することで、早期診断・早期治療や、適切な治療につながります。治療により、認知症の進行を遅らせたり、原因によっては治るものもありますので、少しでも心配がある場合は早めに受診してください。また、自分では受診の必要がないと思っていても、家族や、周りの人が気づいて受診をすすめる場合もあります。その場合も、不安があるとは思いますが、まず受診してください。受診する場合は神経内科や精神科、あるいは岐阜県認知症疾患医療センター(県内に7か所の病院が指定されています)などがあります。また、まずかかりつけ医に相談し、必要に応じて専門医を紹介してもらうこともよいでしょう。現在、認知症の方が利用できる様々な制度がありますが、認知症と診断されて初めて申請が可能になるものもありますので必要なサービスを受けるためにも、受診は重要です。認知症と診断され、一定の条件を満たした場合には、認知症に関する医療費が1割負担(1か月の上限有)となる自立支援医療の申請や、精神保健福祉手帳(級やお住まいの市町村によりいろいろなサービスがあります)の申請が可能になる場合がありますので、主治医や、市町村の担当課にご相談ください。
2、相談窓口を知り、相談しましょう
認知症と診断されると、様々な制度が利用できます。自宅で受けるサービスや、自宅から出かけて受けるサービス、あるいは、自宅外で生活するサービスなどがあります。人によって、認知症の症状や家庭の状況は様々です。今の今、必要なサービスを一緒に考えてくれる相談窓口に相談しましょう。相談窓口は、地域包括支援センターや認知症疾患医療センター、市町村の介護保険・高齢福祉担当課、医療機関の相談窓口、居宅介護支援事業者、介護保険施設などがありますのでお問い合わせください。介護保険制度をはじめ、現在ある数多くの制度やサービスは、必要があり、望まれて確立されてきたものばかりです。すべてはとてもここに書ききれませんが、毎日の生活のことや、あるいは金銭管理のことなどで、困っていることや、悩んでいることがあったら、「小さなことだから」「こんなこと恥ずかしい」などと思わず、また、決してご自身だけで悩まぬよう、ぜひ相談窓口に相談してください。

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