平成26年度 第11回公開講座の様子

平成26年度 第11回岐阜市民病院公開講座実績

平成26年度第11回岐阜市民病院公開講座を開催しました

日時
平成27年3月28日(土)
午後2時30分~午後4時
講演内容

1.救急・災害よもやま話
岐阜市民病院 災害・救急医療センター 救急診療部長 波頭 経明
岐阜市民病院 災害・救急医療センター 救急看護認定看護師 中野 克哉

平成27年3月28日(土)、岐阜市民病院内西診療棟4階サルビアホールにおいて、平成26年度第11回(通算51回)岐阜市民病院公開講座を開催しました。
「救急・災害よもやま話」と題して、岐阜市民病院災害・救急医療センター救急看護認定看護師中野克哉、次に、同じく岐阜市民病院災害・救急医療センター救急診療部長波頭経明からの、講演を開催しました。当日は、140人と多くの市民にお集まりいただきありがとうございました。参加された方々も身近な問題で、分かりやすい説明がありました。多くの質疑応答があり盛況のうちに公開講座を終了しました。また、アンケ-トにもご協力いたただきありがとうございました。(講演内容については、要約を掲載

なお、次回は、4月25日(土)に、「おしっこのことで悩んでいませんか?男性の排尿トラブル」と題して、岐阜市民病院泌尿器科部医員加藤大貴から、次に「おしっこのことで悩んでいませんか?女性の排尿トラブル」と題して、岐阜市民病院泌尿器科部長米田尚生から、最後に、「おしっこのことで悩んでいませんか?ご自分でも出来ます尿モレのケア」と題して、岐阜市民病院泌尿器科看護師川出智美からの講演を予定していますので、次回も出席くださるようお願いします。

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挨拶をする
太田宗一郎副院長
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講演をする
中野克哉 災害・救急医療センター認定看護師
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講演をする
波頭経明災害・救急医療センター診療部長
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質疑応答に答える
講演者

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講演要約

救急・災害よもやま話
岐阜市民病院 災害・救急医療センター 救急診療部長 波頭 経明
岐阜市民病院 災害・救急医療センター 救急看護認定看護師 中野 克哉

救急医療と災害医療との相違は、需要と供給のバランスで定義されます。
災害とは「突然発生した異常な自然現象や人為的な原因により、人間の社会的生活や生命と健康に受ける被害」のことです。災害で生じた対応必要量(需要)の増加が通常の対応能力(供給)を上回った状態で提供される医療が災害医療です。列車事故やテロなどの人為災害、地震や津波などの自然災害に対して提供されます。災害医療では限られた人的資源・医療資源の中で、最大多数の傷病者に最良の医療を提供することを目的とします。このためにトリアージ(ふるい分け)を行い、治療の優先順位を決定します。防ぎうる死(Preventable Death)の回避を目的とし、重症(赤)と中等症(黄色)に対して優先的な治療(状態の安定化)を行い、根本治療が行える地域への搬送を行います。死亡あるいは救命困難な状態に対しては、残念ながら積極的な治療を行う余裕はありません。1995年の阪神淡路大震災以後、災害時の迅速な医療提供を目的にDMATが整備されました。当院も2011年に災害拠点病院となり、2つのDMATチームの訓練が終了しています。
一方、救急医療(時間外や休日診療時間)の医療供給力は、通常の外来医療とは異なり大きくはありませんが、救急要請による需要に対応しています。救急医療では、各個人に対して救命の可能性を徹底的に追求し、可能な限りの医療資源を投入します。救急診療は社会のセイフティーネットとして、地域の医療として存在します。昨今は救急搬送が増加する傾向にあり、当院でも救急搬送症例が著しく増加しています。当院への年間の救急搬送は2000年の1031件から、2014年には4538件に増加し、このうち入院は約43%でした。2014年の救急からの入院件数は、ご自身で来院された患者さんも含めると年間3431人となりました。2002年以後メディカルコントロール体制の構築を柱とした救急医療をとりまく環境の整備がすすめられ、病院前救護としての救命士の処置拡大が進められています。
救急疾患についての患者さんの判断と医療者の判断には相違があります。医療者としては早期に治療を行えば回復する可能性のある疾患、たとえば心筋梗塞や脳梗塞の場合にはできるだけ早く来院していただきたいと考えます。脳梗塞では手足のしびれや、しゃべりにくいなどの自覚があるものの、痛みがないため様子を見てしまいます。発症後数時間で回復の可能性はなくなりますのですぐに来院していただきたいと思います。死亡原因となる血管病変の予防には、高血圧・高脂血症・糖尿病といった生活習慣病をコントロールすることが大切です。救急搬送されないために、健康診断を利用し、常日頃から健康の維持・増進に努めてください。


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