平成27年度 第1回市民公開講座の様子

平成27年度 第1回岐阜市民病院公開講座実績

平成27年度第1回(通算52回)岐阜市民病院公開講座を開催しました

日時
平成27年4月25日(土)
午後2時30分~午後4時
講演内容

おしっこのことで悩んでいませんか?
1.男性の排尿トラブル
岐阜市民病院 泌尿器科部医員 加藤 大貴

2.女性の排尿トラブル
岐阜市民病院 泌尿器科部長 米田 尚生

2.ご自分でも出来ます尿モレのケア
岐阜市民病院 泌尿器科看護師 川出 智美

平成27年4月25日(土)、岐阜市民病院内西診療棟4階サルビアホールにおいて、平成27年度第1回(通算52回)岐阜市民病院公開講座を開催しました。
最初に、「おしっこのことで悩んでいませんか?男性の排尿トラブル」と題して、泌尿器科部医員加藤大貴、次に「おしっこのことで悩んでいませんか?女性の排尿トラブル」と題して、泌尿器科部長米田尚生、最後に「おしっこのことで悩んでいませんか?ご自分でも出来ます尿モレのケア」と題して、泌尿器
科看護師川出智美からの講演を開催しました。
当日は、170人と多くの市民の皆様にお集まりいただきありがとうございました。皆様にわかりやすく説明があり、参加された方々も身近な問題で、関心の高さがうかがえました。多くの質疑応答があり盛況のうちに公開講座を終了しました。また、アンケ-トにもご協力いたただきありがとうございました。(講演内容については、要約を掲載

なお、次回は、5月23日(土)に、あなたの知らないタバコの世界「吸う人も吸わない人も」と題して慢性呼吸器疾患看護認定看護師梶本聡からの講演を予定していますので、次回も出席くださるようお願いします。

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挨拶をする
太田宗一郎副院長
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講演をする
泌尿器科部医員 加藤大貴
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講演をする
泌尿器科部長 米田尚生
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講演をする
泌尿器科看護師 川出智美
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質疑応答に答える
講演者

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講演要約

おしっこのことで悩んでいませんか?
男性の排尿トラブル
泌尿器科部医員 加藤大貴

排尿に関わる症状は排尿症状、蓄尿症状に分けられます。排尿症状は尿を出すことに問題がある症状で、「尿が出にくい」、「尿の勢いが弱い」、「排尿後に残尿感がある」などです。蓄尿症状は尿を溜めることに問題がある症状で、「尿が近い」、「夜間排尿のために起きる」、「尿がもれる」などです。排尿困難は、膀胱から尿道への尿の通過が妨げられる場合(通過障害)、あるいは膀胱がうまく収縮できない(膀胱収縮障害)場合に起こります。通過障害で最も頻度の高いものは男性における前立腺肥大症で、膀胱収縮障害は脳卒中や脊髄神経の障害による膀胱神経障害が原因のことが多い。
前立腺は男性の膀胱の出口で尿道を取り囲む臓器で精液の一部を産生します。前立腺が肥大すると尿道を圧迫して、尿の通過障害をきたし、排尿症状を引き起こすとともに、頻尿、夜間頻尿、残尿感などの蓄尿症状も起こします。前立腺肥大症は一般的に加齢とともに増大します。
前立腺肥大症の治療には薬物治療、手術治療があります。尿閉、腎機能障害、尿路感染などの前立腺肥大症による合併症が見られる場合には、手術治療が行われますが、それ以外の場合は、まず薬物治療が行われます。前立腺肥大症の薬物治療には2種類の薬剤が用いられています。α1遮断薬は、前立腺平滑筋にある交感神経α1受容体を遮断することにより、前立腺平滑筋を緩め、尿道の圧迫を解除して、尿が通りやすくします。もうひとつの薬は、前立腺の肥大には男性ホルモンが関与していますが、この男性ホルモンの前立腺に対する作用を抑えることにより、前立腺は縮小させます。薬物治療を行っても、症状の十分な改善が得られない場合や、肉眼的血尿、尿路感染、尿閉を繰り返す場合や腎機能障害が発生した場合には手術による治療が行われます。通常は、尿道から内視鏡を挿入して行う手術が行われます。
【経尿道的前立腺切除術】
尿道から内視鏡を挿入し、内視鏡の先端に装着した切除ループに電流を流し、肥大した前立腺を尿道側から切除する方法です。前立腺切除は、"かんなで木を削る"ように、少しずつ切除して、肥大した前立腺をくり抜くように切除します。前立腺肥大症に対する最も標準的で、広く行われている方法です。
【ホルミウムレーザー前立腺核出術】
尿道から内視鏡を挿入し、レーザーを照射しながら、肥大した前立腺を剥離して、前立腺を塊としてくり抜きます。くり抜いた前立腺は膀胱の中で細かく砕いて、吸引して取り出します。最近、広まりつつある手術方法で、大きい前立腺肥大に対しても少ない出血で行うことができます。

おしっこのことで悩んでいませんか?
女性の排尿トラブル 
泌尿器科部長 米田尚生

最近、過活動膀胱過という言葉が話題になっています。過活動膀胱とは「急に我慢できないような尿意が起こる」「トイレが近い」「急にトイレに行きたくなり、我慢ができず尿が漏れてしまうことがある」などの症状を示す病気です。40歳以上の男女の8人に1人が、過活動膀胱の症状をもっていることが、最近の調査でわかりました。過活動膀胱を含め排尿のトラブルは生活の質(QOL)を低下させます。
過活動膀胱には、脳と膀胱を結ぶ神経のトラブルで起こる「神経因性」のものや女性の場合には加齢や出産によって、膀胱・子宮・尿道などを支えている骨盤底筋が弱くなったり傷んだりすることに起因するものがあります。また、何らかの原因で膀胱の神経が過敏にはたらいてしまう場合や、原因が特定できない場合もあります。治療には行動療法と薬物治療があります。軽症例には排尿訓練や骨盤底体操などの行動療法をすすめます。尿失禁を伴う場合には膀胱の過剰収縮を抑える抗コリン薬が有効です。もちろん、下半身を冷やさない、カフェインなどの刺激物を避けるなど、日常生活にも気を配ることは大切です。
尿失禁には突然起こる激しい尿意でこらえきれずに漏れる切迫性尿失禁と、重い荷物を持ち上げた時、咳やくしゃみ、笑った時などに尿が漏れる腹圧性尿失禁があります。腹圧性尿失禁は加齢や出産などが原因で、女性の骨盤底筋の緩みによっておこると考えられています。治療には骨盤底筋体操が有効です。重症例には尿道スリング手術を行っています。
まずは診察、尿検査や超音波検査などで、正確な診断が必要です。
これらの病気は生命に関わることはないが、生活の質を落とします。病態によって、治療が異なります。泌尿器科専門医にご相談ください。

おしっこのことで悩んでいませんか?
ご自分でも出来ます尿モレのケア 
泌尿器科看護師 川出智美

蓄尿障害で起こる尿モレ対策として骨盤底筋体操があります。骨盤底筋とは、子宮や膀胱といった下腹部の臓器を支える筋肉の総称で、ここを鍛えると女性の下半身のトラブルを改善できることがいわれています。骨盤底体操について、動画を用いてその方法、注意点などを詳しく解説しました。
また、尿モレ対策としての尿とりパットの種類や使用法についても解説しました。尿モレには生理ナプキンではだめです。また失禁量によっていくつかの種類があります。
モレが多いものはおむつタイプ。少量の場合はパット。男性用もあります。
尿モレパットは尿のもれる量や昼間用、夜間用、用途によってあったものを選択しましょう。


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