平成28年度 第6回市民公開講座の様子

平成28年度 第6回岐阜市民病院公開講座実績

平成28年度第6回(通算69回)岐阜市民病院公開講座を開催しました

日時
平成28年9月24日(土)
午後2時30分~午後4時
講演内容

リハビリテ-ションの効果について
岐阜市民病院 リハビリテーション科部副部長 佐々木裕介
大腿骨近位部骨折について
岐阜市民病院 整形外科部副部長 山本孝敏
腰痛のプライマリ-ケアについて
岐阜市民病院 岐阜市民病院脊椎センター長 清水克時

平成28年9月24日(土)、岐阜市民病院内西診療棟4階サルビアホールにおいて、平成28年度第6回(通算69回)岐阜市民病院公開講座を開催しました。
最初に、リハビリテ-ションの効果についてと題して、岐阜市民病院リハビリテーション科部副部長 佐々木裕介から、次に、大腿骨近位部骨折についてと題して、岐阜市民病院整形外科部副部長 山本孝敏から、最後に、腰痛のプライマリ-ケアについてと題して、岐阜市民病院脊椎センター長 清水克時から講演を開催しました。わかりやすい説明があり、140名の参加がありました。
なお、講演会終了後、3名の講師が個別に相談を受け大変好評でした。
また、アンケ-トにもご協力いただきありがとうございました。
(講演内容については、要約を掲載
なお、次回の平成28年度第7回(通算70回)は、10月29日(土)に、よくわかる糖尿病のお話しと題して、岐阜市民病院看護部 糖尿病看護認定看護師 安田幸司から講演を予定していますので、次回も出席くださるようお願いします。

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挨拶をする 脊椎センター長
清水克時及び講演者
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講演をする リハビリテーション科部副部長
佐々木裕介
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講演をする 整形外科部副部長 山本孝敏
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講演をする 脊椎センター長 清水克時
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講演者

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講演要約

「リハビリテーションの効果について」
岐阜市民病院リハビリテーション科部副部長 佐々木裕介

当院では入院患者さんの約半数がリハビリテーションを行っています。従来の脳卒中や整形外科のリハビリ以外にも、内科や外科などさまざまな病気に対して行われています。 
平均寿命と健康寿命(日常生活に制限のない期間)の差は10年間あります。超高齢社会となり、「元気に」長く生きていくにはどのようにすればよいのでしょうか。これまでは病気になったら安静がすすめられてきました。しかし、今日では安静による「廃用症候群」が生じることがわかっており、安静はむしろ体に悪影響を及ぼすことがわかっています。廃用症候群は、単に筋力低下を引き起こすのみではなく、肺、心臓、腸、膀胱、脳、代謝など体のさまざまな機能を低下させます。これらはいずれも、「横にならない」「運動をする」ことで予防できます。
WHO(世界保健機関)は、2010年~2020年を運動器の10年として、世界中で「動く喜び、動ける幸せ」をスローガンに運動の重要性をキャンペーンしています。日本でも体の動きが悪くなった状態を「ロコモティブシンドローム」と呼び、動きの悪さを早めに自覚し、筋力トレーニングなどで改善しようする試みがなされています。また、ウォーキングでは心拍数を上げる運動が重要と言われており、早歩きと普通歩きを繰り返す「インターバル速歩」が提案されています。レクリエーションスポーツや、スポーツ教室、ダンス教室などに参加することで楽しく体を動かすこともすすめられます。
運動にはがんの予防効果があり、他にも、さまざまな効果を体にもたらします。例えば、脳卒中の予防、心臓の病気の予防・改善、動脈硬化の改善、高血圧の改善、糖尿病の予防・改善、肝臓・脾臓の働き改善、免疫の活性化、骨密度上昇、アルツハイマー病の予防、うつ・不安の改善などが言われています。運動に代わる治療はありません。
医学の発達で命を救えるようになってきましたが、超高齢社会となり、命が助かる人が増えている今、いかに健康で元気に生活していけるかが現在の医療の課題となっています。

「腰痛のプライマリーケアについて」
岐阜市民病院脊椎センター長 清水克時

プライマリ・ケア とは?「身近にあって、何でも相談にのってくれる総合的な医療」と定義されますが、腰痛のプライマリーケアはひとつの病院で完結できるとは限りません。腰痛は日常診療で、すべての診療科を通じて、もっとも多い訴えです。医療統計で、在宅者で自覚症状のあるものを有訴者とよびますが、症状別の人口千人に対する有訴者率は腰痛が96.3人で第一位です。腰痛の大部分は自然に治癒しますが、まれに重大な疾患がひそんでいます。生命にかかわる緊急性の高い疾患は例外中の例外で、大部分の腰痛には生命の危険はありません。
数日で軽快する腰痛は「かぜ」のようなもので、筋・筋膜性腰痛、非特異的腰痛などとよばれます。「かぜ」をひいたとき、まず近くの開業医でみてもらうように、腰痛の場合もまず、近くの内科、外科、整形外科などのかかりつけ医を受診するのがよいでしょう。一定期間の安静と保存治療によって軽快しないか、あるいは再発する痛みにたいしては、整形外科専門医を紹介してもらい、詳しい鑑別診断を進めます。さらに一部の患者さんで、手術が必要な場合には、手術医に紹介してもらうというように、腰痛疾患の診断と治療には医師の役割分担と紹介システムが進んでいます。慢性の腰痛で専門医や手術医に紹介されたあと、手術可能な疾患がみつからなかったり、みつかっても患者さん自身が保存的治療を望む場合には、治療のためにもとの開業医にもどっていただくこともよくあります。慢性腰痛では患者さんが自分の仕事を続けながら治療を進めて行くことが多いので、大病院よりも、通院の楽な近くの開業医が担当するほうが適切だからです。このように、開業医から病院へ、逆に病院から開業医へ紹介するシステムを病診連携といい、岐阜県ではこのシステムがよく整備されています。腰痛が続く場合にはまず、かかりつけの開業医をたずねてみてください。それでも症状の改善が見られない場合には遠慮なく相談し、整形外科や脊椎外科の専門医に紹介してもらってください。「かかりつけ医にそんなことを言うと気を悪くするから黙ってきた」といって紹介状やレントゲン写真を持たずに他医を受診するのは何の得にもなりません。
①腰痛はすべての診療科を通じて、最も多い疾患です。
②これに対処するには かかりつけ医と病院の連携が必要です。地域連携で対処するのが腰痛のプライマリーケアのシステムです。


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