平成29年度 第1回市民公開講座の様子

平成29年度 第1回岐阜市民病院公開講座実績

平成29年度第1回(通算76回)岐阜市民病院公開講座を開催しました

日時
平成29年4月15日(土)
午後2時30分~午後4時
講演内容
片目ずつチェックしていますか?
見たいところが暗くなっていたり、ゆがんだりして中心が見にくくなる病気
糖尿病と眼疾患 ・加齢黄斑変性

岐阜市民病院 眼科部長  川上 秀昭

平成29年度 第1回(通算76回)岐阜市民病院公開講座を開催しました。
平成29年4月15日(土)、岐阜市民病院内西診療棟4階サルビアホールにおいて、平成29年度第1回(通算76回)岐阜市民病院公開講座を開催しました。
平成29年度第1回(通算76回)は、4月15日(土)に、「片目ずつチェックしていますか?見たいところが暗くなっていたり、ゆがんだりして中心が見にくくなる病気 糖尿病と眼疾患 ・加齢黄斑変性」と題して、岐阜市民病院眼科部長 川上秀昭からの講演をしました。
当日は、130名の方が、ご参加いただき、多くの質疑もあり、盛況のうちに終了しました。また、アンケートにもご協力いただきありがとうございました。

(講演内容については、要約を掲載
なお、次回の、平成29年度第2回(通算77回)は、5月27日(土)に、「歯科における病診連携~歯科診療所から~」と題して、 ユタカ歯科医院 院長 米本武史 先生(岐阜市歯科医師会 成人口腔保健委員会委員)から、次に、「歯科における病診連携~病院歯科から~」と題して、岐阜市民病院 歯科口腔外科部長 兵東 巌からの講演を予定しておりますので、多くの方に出席くださるようお願いします。

第1回市民公開講座
挨拶及び講演をする 眼科部長 川上秀昭
第1回市民公開講座
質疑に答える 眼科部長 川上秀昭

講演要約

「片目ずつチェックしていますか?
見たいところが暗くなっていたり、ゆがんだりして中心が見にくくなる病気
 糖尿病と眼疾患 ・加齢黄斑変性」

岐阜市民病院 眼科部長 川上 秀昭

糖尿病網膜症は、持続する高血糖状態により網膜血管が障害されることで発症します。近年、糖尿病患者の増加に伴い増加の一途をたどり、現在の推定患者数は300~500万人とされています。糖尿病網膜症は毎年約3000人が失明する中途失明の第2位の疾患です。糖尿病網膜症の病型は、単純型、前増殖型、増殖型の3つです。単純型では高血糖により血液がドロドロとなりつまりやすくなり障害された血管から網膜内に出血がみられます。前増殖型では虚血状態といって網膜血管が閉塞して網膜内に酸素や栄養が届かなくなり、増殖型では新生血管や増殖膜が形成され硝子体出血や網膜剥離が発生します。
症状は、単純型と前増殖型ではほとんど自覚されず、増殖型になるとみにくさ、視力低下あるいはかすみなどが出現します。糖尿病網膜症では、こうした自覚症状の出現が遅いために眼科受診および適切な治療の時期を逸して重症化しやすいとされています。
治療は、単純型では内科での血糖コントロールのみで眼科での治療はありません。前増殖型ではレーザー治療、増殖型ではレーザー治療のほか硝子体手術を行います。ただし、レーザー治療も硝子体手術も病状の安定にはある程度有効ですが、低下した視力(障害された網膜機能)を元通りにできるとはかぎりません。
このため、糖尿病と診断されたら症状がなくとも定期的に眼科検診を受け続けてください。
加齢黄斑変性は、近年、日本において食生活の欧米化、高齢化などに伴い増加しており、50歳以上の約80人中1人(推定患者数は80~90万人)にみられる中途失明を来す第4位の疾患です。
発症原因としては、加齢、喫煙、光障害(特に青色光線)などが挙げられ、日本人では喫煙率の高い男性に多く発症します。
症状は、線や文字のゆがみ、視界の中心部分のかすみや暗さを感じるなど、見たい箇所(中心)がみにくくなります。
加齢黄斑変性の病型には萎縮型と滲出型があります。萎縮型は、網膜が加齢や酸化ストレス等でゆっくりと萎縮して減少していくタイプで視力低下はさほど強くありません。滲出型は形成された新生血管が網膜内に出血をもたらすタイプで急激な視力低下を起こします。
治療は、萎縮型では「経過観察,ライフスタイルと食生活の改善(禁煙),サプリメント摂取」とされており、確立された治療法はありません。滲出型では、抗VEGF抗体という新生血管の発生および伸展を抑制する薬剤を眼内に注射します。ただし、眼内に投与された薬剤の効果は2か月程度しか持続しないため、繰り返し注射する必要があります。一方、現時点の注射治療は視機能維持を目的としており、網膜が変性してから注射治療を行っても視力改善は期待できません。
現在、加齢黄斑変性では対処療法のみで根治療法がないため、普段の生活において予防が大切です。予防としては、禁煙、光線対策として外出時にサングラスや帽子の使用、食事では緑黄色野菜や青魚あるいは加齢黄斑変性用のサプリメントなどの摂取が推奨されています。


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