令和元年度 第6回市民公開講座の様子

令和元年度 第6回岐阜市民病院公開講座実績

令和元年度 第6回(通算104回)岐阜市民病院公開講座を開催しました

日時
令和元年9月21日(土)
午後2時30分~午後4時
講演内容
認知症とせん妄
認知症疾患医療センター長 犬塚 貴

令和元年9月21日(土)、岐阜市民病院内西診療棟4階サルビアホールにおいて、認知症疾患医療センター長 犬塚 貴から、「認知症とせん妄」を、テーマに講演を行いました。当日は参加者数、約140名と多くの方にお集まりいただきました。
また、講演会終了後、質疑応答を受けるとともに、アンケートにもご協力いただき、盛況のうちに終了できました。
なお、次回は、令和元年10月26日(土)に、整形外科部長 宮本 敬から、「腰痛・神経痛に対する最先端の治療」を、形成外科部長 大野義幸から、「足の痛みと治療」を、リハビリテーション科部長 佐々木裕介から、「~運動は万能薬~廃用について知りましょう」を、テーマに講演を予定していますので、ぜひご参加ください。

(講演内容については、要約を掲載

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挨拶及び講演をする   
認知症疾患医療センター長 犬塚 貴
質疑に答える  
認知症疾患医療センター長 犬塚 貴

講演要約

「認知症とせん妄」
岐阜市民病院 認知症疾患医療センター長 犬塚 貴

  • 「認知症」とは脳の神経細胞が死んで、脳の働きが低下する病気の総称である。認知症の方には、日常生活の自立に支障きたす程度の、記憶・学習障害などの認知機能障害(中核症状)が1つ以上ある。記憶が消え、物事が思うようにできず、イライラ感や攻撃性、或いは落ち込みなどの行動・心理症状[BPSD](周辺症状)が生じることがある。
  • 現在、日本では65才以上の15%が認知症、13%が予備軍で、高齢になるほど罹患率が高い。学習・記憶障害が初発時から目立つアルツハイマー型認知症が最も多い原因疾患である。ついで血管性認知症、レビー小体認知症、前頭側頭型認知症で、これらを4大認知症とよんでいる。高齢者では病態を併せ持つことが多い。脳の障害を受ける部位のちがいによって、各々の認知症の特徴が生じる。
  • 認知症の診断には、生活上の支障の経緯を明らかにし、神経診察、血液検査、認知機能検査、画像診断を行う。そのため診察には生活をよく知る家族等の同行が重要である。
  • 認知症の治療には、薬物療法、脳活性化療法、介護者や家族のよい対応、介護保険など社会資源の活用が重要である。薬物療法は未だ開発途上であり、対応上の要点は、不安やパニックを避け、穏やかな生活の継続をめざすことである。
  • 「せん妄」とは、比較的急に周辺への注意力が低下し、つじつまの合わない言動、不安や興奮、幻覚、昼夜逆転などが見られる状態である。数時間~数日間持続し、特に夕方から夜間に症状が強くでる。認知症の方や、脳卒中などを経験した方が、発熱、痛み、炎症、手術、低酸素、脱水、薬剤などの身体的な負荷が加わると起こりやすい。危険性のある薬剤として抗不眠・不安薬が注目されている。せん妄は単に心の問題ではなく、原因となっている身体の障害に目を向けることが大切である。急な身体疾患で入院された時に起こることが多く、家族の衝撃や医療不信を防ぐために正しい理解が必要である。
  • 新オレンジプランや認知症施策推進大綱では、認知症になっても、できる限り住み慣れた地域のよい環境で、自分らしく暮らし続けることができる社会の実現を目指すとされている。地域包括ケアシステムが構築され、住まい・医療・介護・予防・生活支援を多職種、多施設が連携して支えている。その中で地域包括支援センターは高齢者、とくに認知症と共に地域で暮らしていくための相談窓口である。認知症カフェは認知症の方(当事者)、介護者、支援者が思いや悩みを分かち合い、前向きに生活できるように集える場となっている。認知症疾患医療センターは、認知症の専門医療相談、認知症疾患の診断(もの忘れ外来)、身体合併症の急性期治療、認知症に関する研修、啓発活動を行っている。

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