平成26年度 第1回公開講座の様子

平成26年度 第1回岐阜市民病院公開講座実績

平成26年度第1回岐阜市民病院公開講座を開催しました

日時
平成26年4月19日(土)
午後2時30分~午後4時
講演内容

病院薬剤師は、何をしているの?
岐阜市民病院薬剤部医薬品情報管理室長 小林健司

治験は、未来への贈り物
岐阜市民病院治験管理センタ-薬務室長  水井貴詞

地域の皆様が育てる薬剤師の卵
岐阜薬科大学講師 舘 知也

薬局薬剤師から薬とかかりつけ薬局の話
岐阜市薬剤師会薬剤師 吉田達彦

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挨拶をする 後藤千寿薬剤部長及び講演者

平成26年4月19日(土)、岐阜市民病院内西診療棟4階サルビアホールにおいて、平成26年度第1回(通算41回)岐阜市民病院公開講座を開催しました。
「病院薬剤師は、何をしているの?」と題して、岐阜市民病院薬剤部医薬品情報管理室長 小林健司から、続いて 「治験は、未来への贈り物」と題して、岐阜市民病院治験管理センタ-薬務室長 水井貴詞から、「地域の皆様が育てる薬剤師の卵」と題して、岐阜薬科大学講師 舘 知也から、最後に「薬局薬剤師から薬とかかりつけ薬局の話」と題して岐阜市薬剤師会薬剤師 吉田達彦からの講演を開催しました。当日は、110人の多数の市民にお集まりいただきました。薬の話は身近な話題でもあり、大変わかりやすい話で、盛況のうちに公開講座を終了しました。また、アンケ-トにもご協力いたただきありがとうございました。
(講演内容については、要約を掲載

なお、次回は、5月31日(土)に、「歯科用インプラントについて」と題して、岐阜市民病院歯科口腔外科副部長 小林 敦、続いて「口腔粘膜疾患について」と題して、岐阜市民病院歯科口腔外科部長 兵東 巌からの講演を予定していますので、次回も出席くださるようお願いします。

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講演をする
薬剤部医薬品情報管理室長 小林健司
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講演をする
治験管理センタ-薬務室長 水井貴詞
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講演をする
岐阜薬科大学講師 舘 知也
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講演をする
岐阜市薬剤師会薬剤師 吉田達彦

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講演要約

病院薬剤師は、何をしているの?
薬剤部医薬品情報管理室長 小林 健司

普段、患者からは、業務内容が見えにくい病院薬剤師の仕事内容について出来るだけ市民にわかりやすく実例を示しながら講演した。
具体的内容は、薬の日が、決められている事そして、「クスリ」を逆さに読むと「リスク」になることから、役に立つ薬も、使い方などを間違えると、副作用が発生することがあるので、十分に注意して使用する必要がある事を伝えた。公開講座前日のニュースで国立国際医療研究センター病院での造影剤ウログラフィンの誤用による患者死亡例を示し、いかに薬の適正使用遵守が重要かを伝えた。
病院薬剤師の業務内容について、調剤、注射薬調剤、薬品管理、医薬品情報、薬剤管理指導業務、病棟薬剤業務について、報道された新聞記事の例を示して、当院での具体的な業務内容を話した。
調剤部門では、バーコード利用による散剤調剤のチェックシステムや散剤の分包への患者名等の印字システムの紹介をした。
注射薬調剤では、自動払い出しシステムを利用した患者毎、1施用毎の払い出しを装置の写真を示し説明した。
薬品管理では、他施設での期限切れワクチン使用の例を示し、病棟等での薬品の期限在庫管理を説明した。
医薬品情報では、TDM(薬物血中濃度測定)を昨年岐阜市で発生した集中豪雨による道路の冠水の新聞記事、忠節橋の橋げたに表示されている『注意』『警戒』の画像を示して市民にも理解しやすいように説明した。
薬剤管理指導業務では、個々の患者さんに適した内容で、くすりの説明を行っていることを実際の説明場面の写真や具体的処方例を示して説明した。
病棟薬剤業務では、平成23年4月から加わった新しい病院薬剤師の業務である事を伝えた。また、実際の活動場面を写真で示し、薬剤師が病院内の調剤室等だけでなく医師や看護師と病棟内で一緒に業務を行っていることを説明した。
具体例として、入院患者の持参薬管理や薬品についての相談応需によりくすりに関するリスクの軽減に努めている事を伝えた。

治験は未来への贈り物
治験管理センター薬務室長  水井 貴詞

「くすりを安心して飲むことができますか?」
では、「そのくすりはどうやってできてきたのでしょうか?」
みなさんの病気を治す手段の一つとして、「くすり」があります。その「くすり」は安全性と有効性を確認する多くの過程を経て、多くの患者さんに使用することができます。
ある病気に効果を期待する薬の元である薬物についての情報をまとめて国(厚生労働省)に申請することで、安全性と有効性を国が許可して、初めて「くすり」として使うことができます。
では、どのように情報を集めるかというと、動物実験だけでなく、最終的には人に使用しての情報が必要となります。人における情報を得るための試験を「治験」といいます。
「治験」には3段階あり、最初は健康成人男性に使用して、安全であるかどうかを中心に情報収集します。2段階・3段階目で患者さんに使用して、安全かどうかの情報を収集することになります。これらの結果から総合的に判断して、「くすり」として世の中で使用できるようになります。
さて、もしあなたが「治験」への参加を進められた場合、どうでしょうか。
不安があるかもしれません。しかし、「治験」は法律で定められたルールに従って行われており、信頼できるサポート体制で行われていますので、安心していただけると思います。参加は自由な意思で決めていただくことができ、途中でやめることもできます。参加を断った場合でも不利益を受けないこと、通常の治療を継続することになっています。安心して参加していただくために、法律で人権やプライバシーは守られています。また、サポートには治験コーディネーター(CRC)というスタッフもいて、安全に治験を進めていく体制が整っています。
新薬開発には治験が必要不可欠ですが、「ドラッグラグ」という状況も発生しています。ドラッグラグとは、世界で普通に使える薬が日本では使えない状況をいいます。それは、治験が実施できない、進捗が遅いことが原因で承認のためのデータを集める事ができないからです。薬を必要としている人のためにも「治験」が適切に実施される必要があります。
最後になりますが、現在使っている薬もこれまでに参加してくださった患者さんや多くの方々の協力なしには、生まれてくることはできませんでした。このような経過があることを知っていただき、薬を安全に大切に使っていただきたいと思います。
私たちが病気と闘うために今使える薬は、先人からの贈り物です。将来病気で苦しむ人のためにも、今行われている治験は「未来への贈り物」であることを知っていただければと思います。

地域の皆様が育てる薬剤師の卵
岐阜薬科大学講師 舘 知也

現在、薬剤師養成のための薬学教育は6年制になり、5年次には病院と薬局でそれぞれ2.5ケ月ずつの実習が必修となっています。卒業時に薬剤師国家試験に合格すれば、薬剤師の資格が得られます。卒業後は、薬剤師の資格を生かせる病院、薬局、官公庁、製薬会社などに就職します。
岐阜市民病院でも、5年次の病院実習のため年間10人以上の薬学生を受け入れています。さらに、同じ岐阜市の施設である岐阜薬科大学の教員(薬剤師)が薬剤部の薬剤師と協力し、病院実習中の薬学生の教育指導を行っています。病院実習では、薬剤師の指導・監督のもと、薬剤部、病棟および外来で実習を行います。具体的には、薬剤部では調剤業務や抗がん剤の無菌調製など、病棟ではナースステーションやベッドサイドで患者さんの薬の管理や説明など、外来では外来化学療法センターでの薬の説明などを行っています。そのため、薬剤部のお薬窓口、ベッドサイド、外来化学療法センターで、薬学生が皆様とお話させていただく機会があるかもしれません。そのような機会がありましたら、暖かく見守っていただけると幸いです。薬剤師の卵を育てるのは地域の皆様です。

薬局薬剤師から 薬とかかりつけ薬局の話 ~お薬手帳もお願いします~
岐阜市薬剤師会 会営 ぎふ西調剤薬局薬局長 吉田 達彦

「薬」という漢字は、「草を食べたら、楽になった。」と書きます。これは薬の始まりが、自然界の動植物であることを示しています。
「薬の働き」は身体の中で、自然治癒力が十分働くように、病原菌を殺したり、熱や痛みを抑えたり、体力の消耗を防ぐ手助けをすることです。一方、自然治癒力は、不規則な生活や体内時計の乱れによって低下しますので注意が必要です。
薬には、目的としている作用以外の作用「副作用」があります。病気の症状を和らげたり、治したりする効果「主作用」を大きく、副作用を小さくして使うことが大切です。
副作用の原因は、薬の成分の元々の性質、薬を正しく使わなかった、自分の体質や体調、薬と飲食物との相互作用、薬同士の相互作用などです。
薬を正しく使っていても副作用が起きた場合は、「健康被害救済制度」の対象となります。
「医薬分業」は、医師と薬局薬剤師が、それぞれ独立した立場での専門性を発揮して、薬については二重確認を行い、薬学的観点から患者さんの安全・安心を守る仕組みです。患者さんとの会話から「薬剤服用歴管理簿」記録を作成して、調剤において疑問があれば、医師に連絡、確認します。
「かかりつけ薬局」や「お薬手帳」を持つことは、薬の副作用、相互作用、重複を防ぐために大変重要です。
「かかりつけ薬局」では、いつも同じ薬局で同じ薬剤師に相談することで、一般用医薬品の選択、健康管理、体質に合った薬の確認(例えば、腎機能推算mL/分による薬用量確認)をしてもらえます。
「お薬手帳」は、事故に巻き込まれた時、意識がない時、外出先で気分が悪くなった時に、役に立つことがあります。常に携帯していただき、最新状態を保つ事、一冊にまとめることが重要です。ご自分の体調をメモすることもできます。入院時にも持って行きましょう。アレルギー歴、服薬経過、他医院との飲み合わせ、飲み過ぎなどを容易に確認できます。医師、歯科医師、ドラッグストアへのご提示もお願いします。
「ジェネリック医薬品」は、同一成分同等品です。有効成分は同じで、国が承認した医薬品添加物で作られています。薬局薬剤師は、製品試験データ資料、安定供給体制、近隣病院採用状況などにより、信頼できる製品を提案します。限りある医療資源、社会保障費の有効活用にご協力お願いします。


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