病院事業管理者からのご挨拶(令和4年4月)

病院事業管理者 冨田 栄一
当院は、岐阜県地域医療構想において、岐阜圏域の急性期医療の中心的役割を担う医療機関のひとつとされており、岐阜市の中核病院として、急性期医療、地域医療の充実に積極的に取り組むとともに、公立病院として、関係機関と連携し、小児医療、精神科医療を含む幅広い医療を提供しております。
当院の特徴としては、平成18年度に県内初の地域医療支援病院の承認を受け、地域医師会と共同で作成した地域連携パスの積極的な運用など、かかりつけ医をはじめとする地域の医療機関との連携、役割分担に取り組むことで、地域完結型医療を推進しております。
また、地域がん診療連携拠点病院である当院は、がんセンターを組織し、各種内視鏡機器、内視鏡手術支援ロボットや精度の高い放射線治療装置、より精密な検査が可能なPET-CTやMRエラストグラフィ(身体を傷つけることなく肝臓の堅さを調べる検査)が可能な3テスラMRIなど、高度な医療機器を整備しています。これらの機器の整備に加え、通院しながら外来で抗がん剤治療を受けていただくことができるよう外来化学療法センターを整備しています。さらには、がん治療認定医やがん薬物療法専門医、その他がんに関する専門的な資格を有する薬剤師や看護師など、多数の専門医療職員を配置し、総合的ながん診療の提供に努めております。
一方で、救急指定病院としての機能を果たすべく、救急搬送の受入れには重点を置いており、昨年度は年間5,000台を超える救急車搬送患者を受入れております。また、岐阜市から委託を受け、岐阜市医師会等の協力を得て運営する「小児夜間急病センター」や、岐阜市医師会、岐阜市歯科医師会及び岐阜市薬剤師会の協力を得て運営する「岐阜市休日急病センター」及び「岐阜市休日急病歯科センター」を病院内に設置しており、地域の時間外救急診療に対応しております。
さらに、災害拠点病院として、ヘリポートや自家発電装置など設備を備えるとともに、災害時に被災地で急性期の医療支援活動を行うDMAT(Disaster Medical Assistance Team:災害派遣医療チーム)を4チーム、被災地域で精神科医療及び精神保健活動の支援を行うDPAT(Disaster Psychiatric Assistance Team:災害派遣精神医療チーム)を1チーム整備しております。今後も、大震災のような広域災害の発生に備え、ソフト面・ハード面の充実を図ってまいります。
また、2020年3月に岐阜市で初めて感染者が確認された新型コロナウイルス感染症は、その後も周期的に感染拡大を繰り返す中、当院は発生初期から発熱等の症状がある患者さんの診療・検査を行う「診療・検査医療機関」の指定を受け、症状を有する患者さんへの対応にあたるとともに、陽性患者専用の病床を確保する「新型コロナウイルス重点医療機関」の指定を受け、保健所からの入院要請に応じるなど急性期病院としての役割を果たすとともに、岐阜県が設置するワクチン接種会場や宿泊療養施設へ医師や看護師等の派遣を行って参りました。今後も、インフルエンザをはじめとする各種感染症の拡大防止対策や治療に全力を尽くしてまいります。
現在、医療を取り巻く環境は、急速な少子高齢化、医師の働き方改革など、大きく変化しております。このような中、変化に迅速に対応し、安定経営のもと、地域に必要とされる医療を継続して提供していくため、当院は、平成31年4月から地方公営企業法の規定の全部を適用し、より主体性のある病院運営に努めております。
これからも、「心にひびく医療の実践」を理念に、職員一丸となって、地域医療の充実に貢献してまいる所存です。