平成27年度 第3回市民公開講座の様子

平成27年度 第3回岐阜市民病院公開講座実績

平成27年度第3回(通算54回)岐阜市民病院公開講座を開催しました

日時
平成27年6月20日(土)
午後2時30分~午後4時
講演内容
リウマチ・膠原病ってどんな病気?
岐阜市民病院 総合診療・リウマチ膠原病センター長(特別診療顧問) 石塚達夫

平成27年6月20日(土)、岐阜市民病院内西診療棟4階サルビアホールにおいて、平成27年度第3回(通算54回)岐阜市民病院公開講座を開催しました。
「リウマチ・膠原病ってどんな病気?」と題して、岐阜市民病院総合診療・リウマチ膠原病センター長(特別診療顧問)石塚達夫からの講演を開催しました。当日は、150人と多くの市民の皆様にお集まりいただきありがとうございました。皆様にわかりやすく説明があり、参加された方々も大変参考になったと多くの意見がありました。質疑応答も多くあり、盛況のうちに公開講座を終了しました。また、アンケ-トにもご協力いたただきありがとうございました。(講演内容については、要約を掲載

なお、次回の第4回(通算55回)は、7月18日(土)に、「がん診療における病理医の役割」と題して 、岐阜市民病院病理診断科部長(特別診療顧問)田中卓二から、次に「市民病院でできる検査」と題して、岐阜市民病院中央検査部長内木隆文からの講演を予定していますので、次回も出席くださるようお願いします。

第3回市民公開講座
挨拶をする 診療局長 加藤則廣

第3回市民公開講座
講演をする 総合診療・リウマチ膠原病センター長
(特別診療顧問)石塚達夫

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講演要約

リウマチ・膠原病ってどんな病気?
岐阜市民病院 総合診療・リウマチ膠原病センター長(特別診療顧問) 石塚達夫

リウマチ膠原病という名前は1942年に内科学の教科書を最初に執筆したKlempererがリウマチ熱、関節リウマチ、全身性エリテマトーデスなどの6疾患を膠原病という名称を提唱した。即ち、膠原線維の変性が主たる病態であるとした。しかし、最近では血管炎、IgG4関連疾患など新たな疾患も加わり、リウマチ性疾患という名前で呼ばれる。欧米の教科書で膠原病という名称は見かけなくなっている。日本では社会的にも膠原病という名前が浸透しているので、使用されている。
リウマチ膠原病のなかで最も頻度が高いのが関節リウマチである。語源は医学の父ヒポクラテスが体の各部へ粘液が流れだし、関節に貯まって痛みを引き起こす事よりギリシア語の流れ(rhuema)に由来する。病態は細菌、ウイルス感染、喫煙などの環境因子や遺伝子(体質)が引き起こす免疫異常により、骨、軟骨、血管、内蔵に炎症を引き起こす病気である。その中で最も頻度が高いのが関節リウマチである。日本の患者数は約70万人であり、女性が男性の4倍多い。働き盛りの40歳代にそのピークがあり、社会生活に支障を来す。
関節リウマチは、関節に痛みや腫れを起こす病気で、手足のみならず全身のどの関節も侵す可能性がある。適切な治療を受けないと、侵された関節は破壊され、関節としての機能が低下する。また、関節以外の内臓などにも障害が起きることがあり、時には生命にもかかわる場合がある。関節リウマチは自己免疫疾患の1つで、本来身を守るべき免疫が、何らかのきっかけから自分の体を攻撃してしまう。治療法の進歩により、進行をかなり食い止めることは可能になってきた。症状は、多くの場合手や足の関節から始まるが、特に、指の第2関節や指のつけ根の関節に、症状が現れることが多いが、指の第1関節が侵されることは稀である。関節のみならず、他の臓器にも現れることがある。だるさや発熱、食欲不振、体重の減少、貧血、皮下結節(リウマトイド結節)ができる場合がある。間質性肺炎、心膜炎、動脈炎、神経炎、筋炎なども発症する事がある。治療法は最近、飛躍的に進歩している。当初は、痛みをとるNSAIDs(解熱鎮痛薬)が関節リウマチの治療であったが、抗リウマチ薬の登場により効果は弱いながらも関節の疾患活動性を抑え、関節破壊を緩やかに遅延させることが可能となった。更に、関節リウマチの治療の主流といえる生物学的製剤の登場により、強力な疾患活動性の抑制や、完全な関節破壊の進展抑制が可能となってきた。特に、10年前に登場した生物学的製剤は強力にTNFαというサイトカインを抑え、臨床的寛解、更には抗リウマチ薬も含めて全ての薬剤が休薬できる可能性にまで到達している。これに加えてIL6というサイトカインの働きを阻害する薬や、リンパ球のサイトカイン産生のシグナルを押さえる注射薬や、各種サイトカインの作用を特異的に押さえる飲み薬まで開発されている。今や、国内外における関節リウマチ治療のエビデンスは多数確立され、「関節リウマチが治癒する」という関節リウマチ治療の新しい未来を切り開く可能性にまで来ている。


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