平成28年度 第4回市民公開講座の様子

平成28年度 第4回岐阜市民病院公開講座実績

平成28年度第4回(通算67回)岐阜市民病院公開講座を開催しました

日時
平成28年7月30日(土)
午後2時30分~午後4時
講演内容
CTとMRIどっちにする?
岐阜市民病院 放射線科部長 川口 真平
放射線画像を使った切らない手術アイヴイア-ルって何?
岐阜市民病院 画像診断部医長 小島 寿久

平成28年7月30日(土)、岐阜市民病院内西診療棟4階サルビアホールにおいて、平成28年度第4回(通算67回)岐阜市民病院公開講座を開催しました。
最初に、CTとMRIどっちにする?と題して、岐阜市民病院放射線科部長 川口真平から、次に、放射線画像を使った切らない手術アイヴイア-ルって何?と題して、岐阜市民病院画像診断部医長 小島寿久からの講演を開催し130名の参加がありました。活発な質疑応答もあり、公開講座も盛況のうちに終了しました。アンケ-トにもご協力をいただきありがとうございました。
(講演内容については、要約を掲載
なお、次回の平成28年度第5回(通算68回)は、最初に、よい眠りのために~生活リズムと薬物療法~と題して、岐阜市民病院精神科医師田村量哉から、次に、依存の病理についてと題して、岐阜市民病院精神科医師柴田明彦から、最後に、精神科入院治療ってどんなもの~プラス面とマイナス面をめぐって~と題して、岐阜市民病院精神科医師本間博行から講演を予定していますので、次回も出席くださるようお願いします。

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挨拶及び講演をする放射線科部長 川口真平
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講演をする 画像診断部医長 小島寿久
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質疑応答に答える  講演者
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質疑応答に答える  講演者

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講演要約

「CTとMRIどっちにする?」
岐阜市民病院 放射線科部長 川口 真平

現在総合病院の画像診断にはCTとMRIがあります。
CTの原理は単純写真と同様で、放射線の透過性の程度をグレイスケールで表示しています。
MRIは身体を強力な磁石にいれて、体内微小磁石である水素原子核を配列させた後,回転数と同じ周波数のラジオ波で共鳴させた後に水素の原子核から得られる放出波を画像化したものです。
つまりCTは堅いか柔らかいかを見ているのに対して、MRIは水か脂肪かという化学組成を見ています。
各臓器に関してCTとMRIの例を挙げてみます。
脳出血はCTが得意ですが、超急性期の脳梗塞はMRIの拡散強調画像が有用です。
肺は大部分が空気ですので、水素がありません。従ってMRIは肺が見えません。CTの独壇場です。
胆石ではCTで見えない石がMRIで見えます。
子宮と前立腺はCTでは内部構造が見えませんが、MRIでは明瞭に評価できます。
脊椎ではCTでは骨が明瞭に評価できますが、MRIでは骨の中の神経が評価できます。
このようにCTとMRIはどちらが優れているということではなく、それぞれに利点、欠点があり使い分けが重要です。
なお、10月3日から市民病院でPET-CTが稼動し始めます。PET-CTはブドウ糖のにせものを疑似餌として癌を釣るという発想でから開発されました。PET-CTは癌を発見するというよりは、既知の癌の広がりをみるものであり、早期癌の検出には有用ではないことを知っておいてください。

「放射線画像を使った切らない手術アイヴイア-ルって何?」
岐阜市民病院 画像診断部医長 小島 寿久

IVRとは、「interventional Radiology=インターベンショナルラジオロジー」の略であり、画像下治療と訳されます。超音波やX線(レントゲン)、CTなどの画像診断装置で体の中を透かして見ながら、細い医療器具(カテーテルや針)を入れて、標的となる病気の治療を行います。
IVRは、外科手術のようにおなかや胸を切らずに、体の奥にある臓器や血管の治療ができる方法です。そのため、患者さんの体への負担が少ないという特徴を持っています。
IVRはがん診療、救急医療、血管治療などの分野で活躍しています。
がん診療では、診断、治療、痛みの軽減などにIVRの技術が用いられています。正確にがんと診断し、適切な治療法を決定するための細胞採取を行ったり、がんに対する治療として、ラジオ波焼灼療法や凍結療法などの局所療法、動注化学療法や動脈塞栓術などのカテーテル治療などを行ったりします。
救急医療では、重傷外傷での大量出血の際の止血手段としてIVRは欠かせない存在です。造影剤を用いたCT検査により出血場所を特定し、カテーテルを用いて出血している血管の塞栓を行います。
生活習慣病の増加に伴い、動脈硬化の患者さんが増えており、IVRによる血管治療の期待は高まっています。動脈硬化により狭くなった血管を広げたり、血管がコブのように腫れる動脈瘤に対して破裂を防ぐために、ステントグラフトを入れたり、瘤の中を塞栓したりします。
多くの診療科で様々な疾患に対してIVRでの治療が行われています。


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