令和元年度 第5回市民公開講座の様子

令和元年度 第5回岐阜市民病院公開講座実績

令和元年度 第5回(通算103回)岐阜市民病院公開講座を開催しました

日時
令和元年8月31日(土)
午後2時30分~午後4時
講演内容
最新の胃がん外科治療について ‼

①ガイドラインに基づいた胃がん治療
外科部長 山田誠
②胃がんの腹腔鏡手術とロボット支援下手術
内視鏡外科部長 奥村直樹

令和元年8月31日(土)、岐阜市民病院内西診療棟4階サルビアホールにおいて、外科部長 山田 誠から、「最新の胃がん外科治療について ‼ ①ガイドラインに基づいた胃がん治療」を、内視鏡外科部長 奥村直樹から、「最新の胃がん外科治療について ‼ ②胃がんの腹腔鏡手術とロボット支援下手術」を、テーマに講演を行いました。当日は参加者数、約100名と多くの方にお集まりいただきました。
また、講演会終了後、質疑応答を受けるとともに、アンケートにもご協力いただき、盛況のうちに終了できました。
なお、次回は、令和元年9月21日(土)に、認知症疾患医療センター長 犬塚 貴から、「認知症とせん妄」を、テーマに講演を予定していますので、ぜひご参加ください。

(講演内容については、要約を掲載

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挨拶及び講演をする
外科部長 山田 誠
講演をする
内視鏡外科部長 奥村直樹
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質疑に答える 講演者 質疑に答える 講演者

講演要約

「最新の胃がん外科治療について ‼
 ②胃がんの腹腔鏡手術とロボット支援下手術」
岐阜市民病院 内視鏡外科部長 奥村直樹

胃がんの歴史をひもとくと、1881年にオーストリア人外科医のテオドール・ビルロートが世界初の幽門側胃切除術を行い成功し、1897年にスイスのカール・シュラッター、1908年にはルーが胃全摘術を行い成功し、1897年にミクリッツが噴門側胃切除を行った。日本では、1897年に近藤次繁先生が幽門側胃切除術に成功し、1918年は三宅秀夫先生によって胃全摘術の成功が報告された。胃がん手術の黎明期に、すでに胃全摘除術、幽門側胃切除術、噴門側胃切除術が確立され、胃がん手術は140年間現代に脈々と受け継がれてきた。
そして、1994年に北野正剛先生が腹腔鏡補助下幽門側胃切除術を発表した。腹腔鏡手術は、当初胆嚢摘除術において普及したが、消化器癌手術では、技術的困難さや、悪性手術に対する安全性が懸念されていた。しかしながら、低侵襲手術は明らかに患者さんの負担を軽減し、技術的に開腹手術との非劣性が示されると爆発的に普及し今や普通の手術となった。これは胃がん手術の歴史における革命的な進歩と言えるかもしれない。また、腹腔鏡手術の安全性を担保するために、日本内視鏡外科学会は技術認定医制度を導入し、全手術動画を審査することで、日本では高い腹腔鏡技術が維持されている。
さらに、2002年橋爪誠先生がロボット支援下腹腔鏡下胃切除術を世界で初めて報告した。ダビンチという高額な医療支援機器であるが、これまで腹腔鏡手術では困難とされてきた精細な動きがロボット技術により克服され、臨床試験において重篤な合併症が半減した。そこで2018年にロボット支援下手術が保険収載され、日本でロボット手術件数が爆発的に増加している。また、2019年にダビンチの特許が満了になり、20年間インテュイティブサージカル社の独占であった市場に世界規模で新規参入が起きている。各社が競合し、手術支援ロボットの進歩や低価格化が起きると、今後はロボット手術のさらなる普及が予想される。
現在はまさに腹腔鏡手術からロボット手術への過渡期と考えられる。当院でも、2018年から準備を始め、2019年8月現在で5例のロボット支援下腹腔鏡下胃切除術を施行した。今後も医師、看護師、臨床工学士が連携して、積極的にかつ安全にロボット支援手術を導入する予定である。


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