薬剤部 製剤

製剤

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院内製剤とは、市販品では十分な対応ができない場合に病院内で調製するお薬のことです。院内製剤は,使用経験が少なく有効性・安全性の確認が十分ではありません。そのため,倫理委員会の承認を受け,使用する患者さんに,その使用意義・方法などを十分説明を行い,同意を得てはじめて使用されます。右図は,クリーンベンチ内において院内無菌製剤を調製しています。

院内製剤の使用報告

●特殊製剤の調製によるがん患者の症状緩和への貢献

悪性腫瘍患者に対し、ポラプレジンク含嗽薬を用いた口腔粘膜炎の治療および予防効果についての検討

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結論

  • ポラプレジンク含嗽薬は、化学療法や放射線治療による口腔粘膜炎を発症している症例に対する治療に有効であった。
  • ポラプレジンク含嗽薬は、化学療法や放射線治療により高頻度で口腔粘膜炎の発症が予想される症例に対する予防に有効であった。

卵巣癌の皮膚転移に対して、モーズ軟膏を使用する際の最適な粘度の検討

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結果

  • 粘稠性が高く患部への塗付がしづらいと予想されるが、正常皮膚への流出・付着の危険性が少ない標準モーズ軟膏を使用することとなった。
  • グリセリンを増量した2種類のモーズ軟膏は標準処方と比較してやや柔らかくなる程度であったが、精製水を添加したモーズ軟膏は粘性がかなり低下した。

結論

  • 本症例の卵巣がんの皮膚転移における施用においても滲出液・出血のコントロールに高い有効性を示した。
  • モーズ軟膏は調製後の時間経過とともに粘度が増す性質が知られ、患者の可能な体位などにより粘稠度の調節が必要となるため、薬剤師の積極的な介入が重要であると考えられる。

消化管GVHDに対する経口ベクロメタゾン製剤(経口BDP製剤)の使用経験

ステロイドの全身投与による深部真菌感染症の重症化が問題となった症例に対し、経口BDP製剤を調製し,その製剤を用いた治療を行った。経口BDP製剤は消化管GVHDの症状改善に効果を認め、全身投与していたステロイドの中止が可能となった。ステロイドの副作用である高血糖のコントロールが良好となり,特記すべき副作用を認めなかったことから経口BDP製剤は消化管GVHDに対して有効かつ安全であることが示唆された。

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BDPシロップ
速効性経口BDP製剤
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BDPカプセル
腸溶性経口BDP製剤

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