ASIAN PACIFIC SOCIETY OF RESPIROLOGY 2012に参加して

国際学会初デビュー報告
ASIAN PACIFIC SOCIETY OF RESPIROLOGY 2012に参加して
岐阜市民病院 研修医 豊島 由佳


今回私は平成24年12月14日から16日の三日間、香港で開催されたASIAN PACIFIC SOCIETY OF RESPIROLOGY (APSR) に参加させていただき 'Retrospective Review for Late Complication Therapy in Long-term Survivors with Non-small Cell Lung Cancer' というタイトルでポスター発表をさせていただきました。私は二年目の研修医ですが今回が 医師となって初めての発表であり、呼吸器内科の澤先生からお話しをいただいたときは、海外という響きに期待3割、何から手をつけてどうしたらよいのか全く想像がつかず不安7割といったところでした。


早速準備を始めました。まずは抄録を作成します。発表をする場合、初めに抄録といって内容を要約したものを作成し、エントリーします。 一通り英文で作成したうえでその一語一句が本当に適切な言葉の使い方なのかどうかを検討することに手間取りました。次に発表する内容の作成です。私の発表は、当院呼吸器内科で化学療法と放射線療法を併用した非小細胞肺癌患者188例で長期生存者の合併症について検討するというものでした。今まで学生時や院内カンファレンスでの発表経験しかなかった私は教科書の内容をまとめた発表や症例の発表作成の経験しかありませんでした。今回、紙カルテの山から一つ一つの症例を検討するという作業や、結果を集めて生存率などの計算を行うという作業を経験でき、この過程を通して妥当性について判断することや新たな疑問をもつこと、新たな課題を見つけることの面白みを学ばせていただきました。次に参加の登録です。先生方にご指導いただきながら登録や委員の方とメールのやりとりをさせていただき、どのような手順で事務的な手続きが行われるかということも学ぶことができました。返信のメールがくるまでにブランクが何日かあったりとやきもきさせられ、海外とのやりとりは国内のように思った通りに順調に進むものではないのだと実感しました。ここまで準備をして、お話しをいただいたときは想像もつかなかった香港行きが徐々に現実味を帯びてきて、期待7割不安3割といった具合でした。


そしてあっという間に出発当日となり、いつのまにか不安なんて忘れるくらいのよい緊張感と楽しみな気持ちで香港へと向かいました。
会場に着くと当然ですが私も発表者の一人であり、誰にも研修医とは思われません。自然と背筋が伸びました。そこでは世界各国から参加した先生方が集まり自分の仕事を発表され、他人の発表に耳を傾け、質問し、討論していました。病院の日常とは全く違うアカデミックな雰囲気の空間であり、医師には毎日の業務を行うということと、またこのような場で互いの見解を持ち合い学ぶという側面があることを味わうことができました。そしてこの刺激はそれぞれの医師の日常業務での向上心へとつながることと思います。


また日本全国の先生方とたくさんお話しできたのもこのような会ならではであると思います。私がポスターを掲示すると、多くの日本の先生方が見にきてくださりました。ある先生は、座長の先生が回ってきたときにどんな質問をされるか練習してみようか、と流暢な英語で次々と質問を繰り出され、私は見事に答えられませんでした。何よりも頭が真っ白になり一言も出なくなってしまった自分に力不足を痛感しました。黙っていては何も伝わらない、きちんと話さなくては、と振るい立ちました。そして本番、座長の先生方がこられました。その先生はとてもフレンドリーな方でまず笑顔で自己紹介、そのあと握手を求められました。その先生の大きな手と握手を交わしたことで私の緊張も一気にほどけました。そしていくつかの質問を挟み深く頷かれながらよく耳を傾けてくださり、この先生に伝えなくては、という気持ちでいっぱいになりました。夢中で話しているとあっという間に発表時間は終わりました。振り返るとどのように話したのか冷静に思い出すことができず、やはりこういった場面できちんとした英語を話す力が必要であるという深い反省とともに、たどたどしい英語でも、なんとか伝えたいことを聞いてもらい理解してもらえた、という大きな手応えも感じました。


そうして三日間を終え、宝石箱のような夜景をいつまでも見ていたい気持ちと香港料理に底を付かない食欲とを抑えながら泣く泣く香港に別れを告げ、病院の日常へと帰ってきました。
今回の経験は私の中で多くを学ばせてくれたと同時に、医師という仕事の中でまた何か研究に携わりたい、そしてそれを伝えたい、という将来への意欲となりました。研修医としてこのような機会に恵まれたことを、必ず今後の自身の研鑽につなげたいと思います。
最後になりましたがこのような機会をくださった先生方に感謝の意を表したいと思います。

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美しい香港の高層ビル群。
中央がAPSR開催のHong Kong Convention and Exhibition Center

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APSR会場の前で。同行した呼吸器内科の澤先生、二村先生と。

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発表前に。ポスター会場で。

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会場内ではこんなイベントも。発表後はリラックスムードで楽しめました。


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