災害医療部

概要

我が国の国土は約8割が自然に囲まれており、その豊かな自然がもたらす災害は毎年のように各地で起こっています。当院では、平成23年(2011年)に災害拠点病院の指定を受けたことにより、新たに災害・救急医療センターを設立しました。さらに、令和4年(2022年)より、災害への対策の充実を図るため、災害対策を専門的に取り扱う組織として災害医療部を独立させ、災害対策に関する専門的な知識を持つスタッフを専任職員として配属しました。このことにより、災害対策がより実践的な行動となるよう、過去の災害から学び得た知識を活用し、災害時に災害対策が活きるように日々取り組んでいます。

saigaiiryou202207-01.jpg

スタッフ紹介

murakami kyobusinsokekkangeka
村上栄司 成人心臓・血管手術、小児心臓手術、救急医療
役職
心臓血管外科長
心臓血管外科部長
災害医療部長
救急診療部副部長
輸血部副部長
主な資格、認定
日本外科学会専門医
心臓血管外科専門医
卒業年、主な職歴
平成3年岐阜大学医学部卒
岐阜大学医学部附属病院高次救命治療センター(講師)
福岡市立こども病院小児心臓外科
岐阜県総合医療センター小児心臓外科及び心臓血管外科

▲ページの先頭へ

災害拠点病院指定

災害拠点病院とは、平成7年(1995年)に発生した阪神・淡路大震災を機に、平成8年(1996年)に当時の厚生省の発令によって定められた「災害時における初期救急医療体制の充実強化を図るための医療機関」です。災害拠点病院の機能ですが『多発外傷等の重篤患者の救命医療、患者等の受入・搬出を行う広範搬送、自己完結型の医療救護チームの派遣、地域医療機関への応急用資器材の貸し出し』です。
当院は、平成23年(2011年)10月に岐阜県から災害拠点病院の指定を受けており、災害時にはその機能を十分に活かせるように取り組んでいます。その代表的な取り組みとして、災害時に病院機能を継続できるようにBCP(Business Continuity Plan:業務継続計画)を平成30年(2018年)に策定し、その内容に合わせて、年2回の災害訓練を実施しています。また、災害訓練の結果を分析・考察し、より災害時行動に沿った災害対策になるように、BCPの改訂も合わせて取り組んでいます。

saigaiiryou202207-02.jpg

▲ページの先頭へ

DMAT(災害派遣医療チーム)指定病院

災害派遣医療チームとはDisaster edical ssistance eamの頭文字をとって「DMAT(ディーマット)」と呼ばれています。このDMATは平成7年(1995年)に発生した阪神・淡路大震災を機に「避けられた災害死」を救命するため、厚生労働省より平成17年(2005年)に発足されました。このDMATですが「災害急性期に活動できる機動性を持ったトレーニングを受けた医療チーム」と定義されており、医師、看護師、業務調整員(医師・看護師以外の医療職及び事務職員)で構成されています。大規模災害や多傷病者が発生した事故などの災害現場に、急性期(おおむね発災後48時間以内)から活動できる機動性を持った、専門的な訓練を受けた医療チームです。具体的な活動として、災害発生時には、短時間で災害現場に乗り込める機動性を有し、活動期間中の医療資機材や食料の確保及び燃料の調達等は自らのチームで行います。医療支援活動を災害現場で行った後は、被災地にゴミを一つも残さずに自院へ帰ってくる、自己完結型での活動を行っていくことになります。

当院では平成24年(2012年)にDMATを整備し、同時に岐阜県より岐阜DMAT指定病院の指定を受け、災害派遣に関する協定を締結しました。令和4年(2022年)時点で当院にはDMAT隊は3チームを保有していますが、さらなる拡充を目指して取り組んでいます。また、保有の3チームに関しては、ワーキンググループを立ち上げ、災害現場での医療活動に関する知識や技術に対して、研鑽に努めています。

saigaiiryou202207-03.jpg

▲ページの先頭へ

トピックス

災害派遣精神医療チーム(DPAT)を整備しました

11月25日(日)に岐阜県庁でDPAT研修が初めて開催され、当院の精神科医師、看護師、薬剤師(業務調整員)が研修を修了、岐阜DPATとして登録されました。今後は、災害時に岐阜県からの要請を受け、岐阜DPATとして支援活動を行っていきます。
※DPAT:Disaster Psychiatric Assistance Teamの略

【DPATの主な活動】
災害時には、通常の医療機能が低下するだけでなく、災害ストレス等により新たに精神的問題が生じるなど精神保健医療への需要が拡大します。そこで、DPATが被災地域に入り、精神科医療および精神保健活動の支援(以下参照)を行います。
・被災地域の精神保健医療ニーズの把握
・他の保健医療体制との連携
・各種関係機関等とのマネージメント
・専門性の高い精神科医療の提供と精神保健活動の支援
岐阜市民病院は、災害拠点病院として指定されており、また精神科病棟を有することから災害時の精神科医療分野の支援も重要な任務であると考え今回の整備に至りました。これまでもDMAT(災害派遣医療チーム)を整備してまいりましたが、この度DPATを整備し、災害支援体制をより強化いたしました。
saigai.dpat201812.jpg

▲ページの先頭へ

岐阜市立本荘中学校で災害に関する講話を行いました。(令和3年12月18日)

岐阜市立本荘中学校で行われた防災研修の中で、災害に関する講話を村上栄司医師(災害医療部 部長)が行いました。
災害拠点病院に指定されている当院の役割やDMATについて、コロナ禍ということをふまえて、被災者へ支援を行う際に気を付けたい感染対策などについて説明するとともに、実際に本荘校区が被災した場合にどのようなことが予想されるかといった現実的な部分についてもお話ししました。生徒だけでなく訓練に参加された自治会の方々も興味深く聞いていただくことができました。
災害時には病院単独で対応することは不可能ですので、今後も行政や自治体等と連携を進めていきたいと考えます。

saigai.kouwa20211218.jpg
中学校2年生を前に講話をする村上医師(中央)

▲ページの先頭へ


ページの先頭へ