形成外科

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概要

形成外科は身体に生じた組織の異常や変形、欠損あるいは整容的な不満足に対して、種々の手法や特殊な技術を駆使し、機能的改善はもちろんですが、形態的にもより正常に、より美しくすることによって患者さんの生活の質の向上に貢献する外科系の専門領域で、大別して「形成・再建外科」と「美容(整形)外科」の2つの領域があります。
当科で扱うのは医療保険の対象となる「形成・再建外科」です。
「形成・再建外科」では、その対象が全身のあらゆる組織に及び、その手術手技も多岐にわたります。現在、当科の最も得意とする分野は手外科(上肢の外科)、肘関節外科、末梢神経外科、四肢の先天異常、微小血管外科を用いた再建外科(四肢、体幹)です。
「美容(整形)外科」は主に顔面を対象とし、人体の機能上の欠損や変形の矯正といった一般的な形成外科の目標を超えて、専ら患者個々の美意識に基づいた"見た目"を改善する美容目的で診療します。医療保険が適応されず、自費診療となりますので、現在、当科では「美容外科」の診療は行なっていません。

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スタッフ紹介

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大野義幸 手外科、肘関節外科、足の外科、末梢神経外科、微小血管外科、形成再建外科
役職
形成外科長
形成外科部長
主な資格、認定
日本手外科学会専門医、指導医、代議員
日本肘関節学会評議員
日本足の外科学会認定医
日本形成外科学会専門医、指導医、マイクロサージャリー指導医
日本整形外科学会専門医、脊椎脊髄病医
足病認定師(日本フットケア・足病学会)
日本体育協会公認スポーツドクター
日本マイクロサージャリー学会会員
日本リウマチ学会会員
卒業年、主な職歴
昭和60年三重大学医学部卒
昭和60年岐阜大学医学部附属病院整形外科入局
平成12年~23年 手外科・形成外科診療班主任(臨床教授)
平成24年1月~ 現職

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診療内容

手外科(上肢外科)手術

皮膚、筋、腱、神経、血管、骨、関節のあらゆる構成要素に対する外科手術を行なっています。先天異常、外傷、変性疾患(関節症など)、関節リウマチ、拘縮、腫瘍に対する通常手術はもちろん、低侵襲手術として手関節鏡視下手術によるガングリオン切除や三角線維軟骨複合体(TFCC)手術も行います。

末梢神経手術

全身のあらゆる末梢神経の外科的手術を行います。当科では重度腕神経叢麻痺に対しては遊離筋肉移植術と神経移行術を組み合わせた手指機能再建を積極的に行なっています。手根管症候群には内視鏡視下手根管開放術を、肘部管症候群には小皮切下に伴行血管温存神経皮下前方移動術を基本手技として行います。上肢だけでなく下肢の末梢神経障害(足根管症候群など)に対する手術も行います。

四肢先天異常手術

母指多指症、裂手症、合指症に対する手術をはじめ、手指骨短縮症に対する仮骨延長法、足趾多趾症、足趾合趾症手術、裂足症、足趾骨短縮症、絞扼輪症候群、その他、あらゆる四肢先天異常に対する手術を行なっています。

肘関節外科手術

野球肘を代表とするスポーツ障害、加齢に伴う関節症、リウマチ肘などあらゆる肘関節障害に対する手術を行なっています。内視鏡視下手術も積極的に導入しており、内視鏡だけで手術を終了することも多くなっています。

マイクロサージャリー(顕微鏡視下手術)を用いた遊離血管柄付き複合組織移植術による四肢、体幹の再建外科手術

良性あるいは悪性腫瘍切除後の広範な組織欠損、機能障害や難治性潰瘍などに対して遠隔部位から採取してきた組織を顕微鏡視下に血管、神経等を縫合して移植することによって組織補填ばかりでなく機能再建も行います。

足の外科手術

関節リウマチに伴う足部変形や外反母趾変形、陥入爪、皮膚潰瘍の治療もおこなっています。

形成外科一般手術

メスを用いて行う本格的外科手術を主におこなっています。顔面手術も行いますが、レーザー手術などのマイナー手術やあざ取りなどのいわゆるコスメ手術は現在のところ行なっていません。

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手術例

例1)1歳男児 裂手症(第1指間狭小を伴う)

術前
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術後1年
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例2)1歳女児 左母指多指症

術前 術後7年
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例3)1歳女児 右多趾症

術前 術後6ヶ月
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例4)10歳代女性 先天性中足骨短縮症に対する仮骨延長法

術前 術中
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ミニ延長器
術後1年
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例5)40歳代女性 熱傷後の右小指欠損

術前 第1趾部分移植による指形成術後1年
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例6)20歳代男性 左手関節切断再接着

術前
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再接着(遊離皮弁併施)後9ヶ月
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指伸展 手指屈曲

つまみ動作
(母指屈曲)

例7)30歳代男性 右母指引きちぎり切断再接着

術前
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再接着6ヶ月後
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つまみ動作

例8)50歳代女性 関節リウマチによる手、手指変形 Swanson 指人工関節 Sauve-Kapandji 手関節形成術

術前 術後
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例9) 70歳台,男性 重度デュプイトレン拘縮に対する遊離皮弁移植

注:最近は中等度までの症例にはコラーゲン分解酵素による注射治療を第1に行っています。

術前 術後9か月
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例10)70歳代女性 関節リウマチ肘関節(人工肘関節による再建)

術前X-P
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人工肘関節置換術後
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右肘正面X-P 屈曲・伸展時側面X-P

例11)40歳代男性 仙骨部褥瘡(脊髄損傷あり) 皮弁による再建

術前 術中
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術直後 2ヶ月後
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例12)50歳代男性 右下腿難治性潰瘍(静脈うっ滞性) 広背筋弁移植+メッシュ植皮

不良皮膚を切除
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広背筋弁移植+メッシュ植皮 5年後
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例13)70歳台,女性.関節リウマチによる扁平三角状足変形

術前 術後1.5年
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術前 術後1.5年
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第2,3中足骨頭痛消失

レントゲン所見
術前 術後1.5年
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例14) 60歳台,女性. 関節リウマチによる足部変形例

術前   術後3年
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例15) 60歳台,女性. 関節リウマチによる右距骨下関節破壊による右外反扁平足例

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例16) 80歳台,女性. 左変形性足関節症による疼痛 人工足関節置換術例

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診療実績

手術件数 2017年~2021年(日本形成外科学科区分による)

2017 2018 2019 2020 2021
区分 入院手術 外来手術 入院手術 外来手術 入院手術 外来手術 入院手術 外来手術 入院手術 外来手術
外傷 249 57 284 63 246 78 219 76 322 59
先天異常 7 4 8 0 24 2 6 4 4 2
腫瘍 14 21 24 23 11 22 13 27 13 23
瘢痕・瘢痕拘縮・ケロイド 2 2 1 0 8 2 2 0 0 0
難治性潰瘍 61 6 47 1 53 4 32 2 25 0
炎症・変性疾患 74 65 120 63 75 35 105 80 113 61
美容 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0
その他 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0

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