皮膚科
概要
皮膚の病気にはかぶれ(接触皮膚炎)、とびひ(伝染性膿痂疹)、たむし(体部白癬)、みずむし(足白癬)、水ぼうそう(水痘)、おびくさ(帯状疱疹)、いぼ(尋常性疣贅)、うおのめ(鶏眼)、たこ(胼胝)などの俗名で呼ばれる病気、すなはち多くの人によく知られている病気がたくさんあります。一方、天疱瘡、尋常性乾癬、皮膚癌などあまり一般の方になじみのない病気もたくさんあります。皮膚科はこれらの皮膚に関係のある疾患を総合的に診察し治療する科です。
スタッフ紹介
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診療内容
- 湿疹・皮膚炎群(アトピー性皮膚炎、接触皮膚炎など)
- 蕁麻疹・痒疹群・掻痒症・紅斑症
- 薬疹・中毒疹
- 膠原病(強皮症、SLE、シェーグレン症候群など)
- 水疱症(尋常性天疱瘡、水疱性類天疱瘡など)
- 皮膚感染症(伝染性膿痂疹、白癬、帯状疱疹、伝染性軟属腫など)
- 炎症性角化症(尋常性乾癬など)
- 皮膚腫瘍(有棘細胞癌、基底細胞癌、悪性黒色腫など)
- その他
診療実績
当院の皮膚科は現在皮膚科専門医3人で外来診療にあたっています。外来診察は月曜日から金曜日の午前中に行っています。午後は予約による手術や皮膚生検、パッチテストなどの検査をおこなっています。
ときどき「皮膚科は手術をやるんですか」と聞かれる事がありますが、多数の手術を皮膚科でおこなっています。
ところで患者さんはわれわれ病院に対し何を望んでいるのでしょうか。当然病気を治してほしいと言う事だと思います。
しかし、ただ治すというだけでなく、どのように治してほしいかが問題です。診療を受ける患者さんの立場から考えると病気を確実に、早く、安心して、快適に、しかも安く治療されることを望んでいるのではないでしょうか。すべてのニーズにこたえることはなかなか難しいですが、われわれはこれらのニーズに少しでもおこたえするように考えています。
基本方針として、患者の立場に立った診療、説明と同意に基づいた診療をこころがけ、また患者さんに不安や苦痛をできるだけ与えない低侵襲の医療を目指しています。
具体的には手術と比べて簡単でしかも安全な凍結療法での治療を積極的に取り入れているというようなことです。
また痛みもなく、より確実に診断する方法としてダーモスコピーを使った診察をおこなっています。
これは皮膚を拡大して観察する機械です。当院では25倍から175倍まで拡大できる高性能のものを用い、腫瘍などの皮膚疾患の診断に利用しています。特に足の裏にできた色素斑の鑑別には威力を発揮し、それが悪性黒色腫(メラノーマ)であるのか、良性の母斑細胞母斑や黒子(ほくろ)かを判定するのに大変有用です。
もちろんダーモスコピーで観察しただけで全ての皮膚病が診断できるわけではありませんので、必要に応じ皮膚を一部切り採って病理検査をする皮膚生検をおこなうこともあります。
『皮膚は内臓を写す鏡』といわれ、内臓疾患の症状が皮膚に現れてくることがしばしばあります。実際に皮膚の症状を見ただけで、内臓に悪性腫瘍があることがわかったり、肝臓が悪いことや、糖尿病があることが分かることもあります。皮膚に異常が生じた時には痒くないからとか痛くないからといって放置せず、皮膚科を受診していただきたいと思います。
手術・検査件数
2012年 | 2013年 | 2014年 | 2015年 | 2016年 | 2017年 | |
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手術 | 147件 | 185件 | 222件 | 256件 | 192件 | 238件 |
悪性腫瘍 | (27件) | (28件) | (25件) | (34件) | (23件) | (43件) |
良性腫瘍その他 | (120件) | (157件) | (197件) | (222件) | (169件) | (195件) |
皮膚生検 | 144件 | 182件 | 144件 | 147件 | 139件 | 136件 |
ダーモスコピー | 354件 | 336件 | 395件 | 365件 | 316件 | 316件 |
医療設備
ダーモスコピー |
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母斑細胞母斑 |
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悪性黒色腫 |
Q&A
1)皮膚の構造は?
皮膚の面積は大人で1.6平方メートル、だいたいたたみ1畳分ほどの広さです。また重さは脂肪をのぞいても体重の8%ほどあるといわれています。ですから体重50キロの人だと4キロもあるということです。
また皮膚は大きく分けると表面側から表皮、真皮、皮下脂肪の3つの層からなっています。その他、毛、汗腺、つめなどの皮膚付属器からできています。
2)皮膚の働きは?
皮膚は内臓と外界をただ単に境しているだけの単純なものと思われているかもしれませんが、実はいろんな働きをしています。
物理的な力や、化学的な刺激、細菌の侵入や光線の刺激などから体をまもる保護作用のほか、体温調節作用、紫外線によるビタミンD合成作用、また痛みや熱さ、寒さなどを感じる感覚作用、汗などの分泌作用、さらに外から皮膚にさまざまな異物が侵入した時に、皮膚にあるランゲルハンス細胞という免疫担当細胞がアンテナの役割をし、リンパ球などに情報を伝えて異物を排除するように働く免疫作用など、さまざまな働きをしています。このように皮膚にはいろいろな働きがあり、体を護っています。
3)皮膚の働きが障害されるとどうなるか?
いろいろな病気がおこってきます。例えば皮膚の保護作用がないと細菌は簡単に体に侵入し、細菌感染症が起こります。また汗がでない無汗症の患者さんでは体温調整機能が障害されており、夏の熱い時に体温がどんどん上昇し、簡単に熱中症になってしまいます。
また皮膚のメラニン色素がないと紫外線の影響を防ぐことができなくなり、皮膚癌がたくさんできる可能性があります。このように皮膚の働きが障害されるといろいろな病気が発生します。
4)皮膚のはたらきを妨げないためにはどうすればよいか?
スキンケアが大切です。スキンケアとしては皮膚を清潔にたもつことと、保湿および保護が必要です。
しかし清潔が大切だからといって、むやみに洗いすぎたり、消毒をすることは逆効果です。はだがあれ、皮脂がとれてしまい、保湿ができない状態になってしまいます。特にお年寄りやアトピー性皮膚炎の人では入浴時に脱脂力の強い洗浄剤はさけ、強くこすらないこと、また入浴後に保湿剤を使用することをお勧めします。
紫外線防御も皮膚にとって大切です。紫外線を多くあびると、皮膚癌の発生につながります。また紫外線は皮膚の免疫力を低下させ、単純庖疹などの感染症がおこりやすくなります。ですから強い日光にあたる時は日やけどめを使う必要があります。