臨床工学室
概要
臨床工学室は平成20年4月に診療局独立部門として設立されました。
現在15名(男性13名、女性2名)の臨床工学技士(ME:Medical Engineer)が呼吸、循環、代謝の分野からなる様々な臨床業務と医療機器の保守管理、更新、破棄などのリスクマネジメントに従事しています。
また院内スタッフに対する医療機器の勉強会、様々な学会への参加及び発表なども積極的に行っています。
資格
- 透析技術認定士(3名)
- 体外循環技術認定士(3名)
- 日本アフェレシス学会認定血漿交換療法認定技士(1名)
- 日本心血管インターベンション治療学会認定士(1名)
- 不整脈治療専門臨床工学技士(1名)
- ME1種(3名)
- ME2種(5名)
- 臨床検査技師(1名)
- 看護師(1名)
血液浄化部門
人工透析室(腎臓病、血液浄化センター)ではベッド数21床で月曜日~土曜日まで透析治療を行っています。医師、看護師と共にチームで安全、良質な透析治療が行えるよう患者さんの入室から退室までを日々管理しています。
透析室での日常業務は、透析装置使用前点検、プライミング、穿刺、透析開始、施行中点検、返血、止血、透析液・薬液補充、ダイアライザー等の物品管理を行っています。また定期的に透析装置の保守点検も行っています。
【腎臓病・血液浄化センター】 | |
【プライミングの様子】 | 【保守点検の様子】 |
特殊血液浄化についても様々なものに対応し、臨床工学技士が機器操作を行っています。
特殊血液浄化一覧
- 単純血漿交換(PE)
- 二重膜濾過血漿交換法(DFPP)
- エンドトキシン吸着などの血液吸着(DHP)
- 白血球除去療法(G-CAP/L-CAP)
- 免疫吸着などの血漿吸着法(PA)
- 腹水濾過濃縮再静注法(CART) etc.
【G-CAP】 |
【L-CAP】 |
【IAPP】 |
集中治療室(ICU)や高度治療室(HCU)での出張透析や夜間の緊急透析、急性血液浄化法(CHDFなど)を24時間体制で行っています。医師と連携をとり治療方針の確認、プライミング、穿刺、開始、治療中の管理、返血操作を一貫して行います。様々な疾患に対し、あらゆる患者層の幅広い治療に対応しています。
【ICUにおけるPMX+CHDF】 |
シャント管理・エコー下穿刺について
透析は患者さんのシャントに毎回穿刺をして行いますが、シャントの走行や形は患者さんによって様々です。その為穿刺の困難な患者さんもいらっしゃいます。穿刺ミスをできるだけ減らす事を目的として最近ではシャントエコーを看護師と連携しながら透析室でも行っています。透析導入したばかりの患者さんや穿刺困難な患者さんには積極的にエコーを行い、シャントの走行や深さ等を入念に調べた上で穿刺を行います。それでも穿刺の困難な患者さんにはエコー下での穿刺を行い、より正確な穿刺を可能にしています。
【シャントエコーの様子】 |
末梢血幹細胞採取(PBSCH)業務について
当院ではPBSH装置の操作をMEが担当して行っています。造血幹細胞とは赤血球、白血球、血小板等の元になる細胞であり、この造血幹細胞を移植する事によって様々な血液疾患の治療に役立っています。
【末梢血幹細胞採取の様子】 |
MEセンター部門
現在MEセンター部門と血液浄化部門は技士のローテーションで業務を行っています。
MEセンターの業務内容としては院内の医療機器の点検・修理などのメンテナンス業務、心臓手術時の体外循環業務、手術室やICUでの医療機器の操作、消化器病センターでのRFA(ラジオ波焼灼療法)装置の操作、不整脈業務(PM、アブレーション)が主なものとなっています。
院内の医療機器の保守点検業務について
院内には多種多様の医療機器があり、それらを安全に使用する為に点検は欠かせません。MEセンターでは輸注ポンプ、人工呼吸器、人工心肺装置、補助循環装置、麻酔器、超音波ネブライザー、低圧持続吸引器、除細動器、保育器、電気メス、生体情報モニターなどの保守点検を行っています。病棟で使用した機器の使用点検、定期点検、メーカーへの修理依頼、院内で行える部品交換や修理、使用期限のチェックなどが主な業務になります。
【人工呼吸器点検の様子】 |
心臓手術時の体外循環業務について
心臓の手術を行う際には心臓を止めた状態で手術を行うことがほとんどです。しかし、心臓が止まると血液循環ができません。そこで、心臓が止まっている間は人工心肺と言う装置で患者さんの血液循環を維持します。その人工心肺装置の操作をMEが行っています。
【人工心肺の様子】 |
医療機器の操作について
手術室内での自己血回収装置や、消化器病センターでの経皮的肝臓腫瘍焼灼術時に使用するRFA装置の操作をMEが担当しています。
【RFA(モノポーラ)】 |
【RFA(バイポーラ)】 |
補助循環装置の操作
補助循環装置とは患者さんが自分の心臓の力のみでは血液循環の維持ができない状態に陥った時に一時的に補助を行う為の装置で、IABPとPCPSと呼ばれる2種類の装置が院内にあります。この内IABPについては使用後の点検と、トラブル時の対応を行っています。PCPSについては導入から維持、離脱に至るまで装置と回路の管理を行っています。
【IABP・PCPS・CHDF同時施行中】 |
不整脈関連業務
脈が遅くなる徐脈や、早くなる頻脈などの不整脈に対し、心臓の中に電極カテーテルを挿入し心臓の動きを調べる電気生理検査(EPS)、またはEPSによって特定された頻脈の原因となる部位を高周波電流によって焼灼し、不整脈を根治するカテーテルアブレーションと言いう治療にMEが携わっています。主な内容は以下の通りです。
- 心臓に電気刺激を行うスティムレータの操作
- 高周波により心筋を焼灼するアブレーターの操作
- 術中の体表面心電図や心内電位のモニタリング、記録
【ラボ及びスティムレータ操作】 |
心電図や電気生理検査などでペースメーカー(PM)の植込みが必要な不整脈と診断された場合、PMの植込み手術を行います。MEは医師の指示のもと、プログラマと言う機会を使用してPM本体のパラメータを適切に設定し、正常に作動させることが出来るか等の検査を行います。PMでの業務は以下の通りです。
- PMやICD(植込み型除細動器)、CRT(心臓再同期療法)の植込み術
- 電池交換術
- 電池が消耗した場合、本体の交換を行います
- PMクリニック
- PMが正常に作動しているのか定期的に検査が必要です。
- 遠隔モニタリングのチェック
- ご自宅に設置してある送信機から自動で病院にPMの情報を送信させるシステムです。
- 手術等の立会い
- 電気メスや放射線治療などPMに影響を与える可能性のある機器を使用する場合、立合いを行い影響がないかモニタリングを行います。最近では条件付きMRI対応の機種もあり、MRIの立合いも行っています。
【外来クリニックの様子】 |