概要
当院は岐阜医療圏の中核を担う医療機関として、地域に必要な質の高い医療を提供する役割を担っており、私たち循環器内科もその責任を果たすため日々診療に励んでいます。
私たち循環器内科では心血管病の診断と治療を担当しています。主な対象疾患としては、高血圧、高脂血症、糖尿病、肥満といった生活習慣病はもちろんのこと、狭心症・心筋梗塞といった虚血性心疾患、心臓弁膜症、心筋症、不整脈(徐脈、頻脈、心房細動など)、肺動脈血栓塞栓症、深部静脈血栓症、成人先天性心疾患、さらにこれら疾患が原因となって発症する心不全や閉塞性動脈硬化症などの動脈疾患があげられます。
これら疾患の診断のために心電図、負荷心電図、ホルター心電図(7日間連続で心電図記録が可能)、植込み型心電計(失神の原因がなかなかわからないときに前胸部皮下にループレコーダーを留置し最長3年間心臓を24時間モニタリングします)、心肺運動負荷試験(Cardio Pulmonary Exercise test)、心臓超音波検査、冠動脈CT、心臓カテーテル検査、各種核医学検査(アデノシン負荷心筋Tlシンチ、MIBGシンチ、脂肪酸シンチ、ピロリン酸シンチなど)などの検査を行っています。
治療に関しては、特に虚血性心疾患、下肢閉塞性動脈硬化症などの動脈疾患、不整脈に対する診療に力を入れています。
虚血性心疾患は、動脈硬化や血栓などによって心臓の冠動脈が狭くなったり、閉塞したりすることで、心臓の筋肉へ血液がいかなくなることで起こる病気です。狭心症や心筋梗塞などが虚血性心疾患に分類されます。
狭心症・心筋梗塞といった虚血性心疾患に対しては、冠動脈の狭窄に対し、手首や足の付け根の血管からカテーテルを挿入して、バルーン血管形成術やステント(網目状の金属製の筒)留置術の治療を行っています。また通常のバルーンやステントでは広がらない高度な石灰化病変に対しては、ロータブレーター(高速回転するダイヤモンドチップを用いて、血管壁を削り取る技術)を使用して効果的に治療を行っています。
下肢閉塞性動脈硬化症は、足の血管に動脈硬化が起こることにより、足の血管が狭窄・閉塞する病気です。糖尿病・脂質異常症・高血圧症・喫煙・肥満等の生活習慣病患者に合併しやすいとされています。
足への血流が悪くなることで、足に栄養や酸素を十分に送ることができなくなるため、さまざまな障害が現れます。間欠性跛行は下肢の閉塞性動脈硬化症の代表的な症状の1つです。一定の距離を歩くと下肢にしびれや痛みが生じ、しばらく休むと痛みはなくなりますが、また一定の距離を歩くと痛みが出現するのを繰り返すことをいいます。これは下肢の血管の動脈硬化により血流が悪くなっているのが原因だからです。
さらに進行すると脚に血液が届かず、脚が壊疽を起こし切断することにもなってしまいます。
下肢閉塞性動脈硬化症に対しては、まず上肢下肢の血圧の比を測定するABI検査(足関節上腕血圧比検査)を行います。あお向けに寝た状態で両腕・両足首の血圧と脈波を測定します。時間は5分程度で、血圧測定と同じ感覚でできる簡単な検査です。上腕と足首の血圧の比を比べることで、動脈硬化が起きていないか、進行していないか推測することができます。この検査で異常があれば、さらに下肢動脈造影CT検査、下肢動脈MRA検査、下肢動脈エコー検査などで血流を詳しく調べて治療方法を決定します。基本的治療は血液をサラサラにする薬(抗血小板薬)などを用いた薬物療法や運動療法、生活習慣の改善です。それでも改善しない場合にはカテーテルを用いた血管内治療や心臓血管外科と連携したバイパス手術を行います。
不整脈に対しては、脈の速い頻脈性不整脈の場合は、まず薬で治療します。それでも効果がない場合は、足の付け根と首の血管からカテーテルを挿入して、不整脈の原因を探し、その起源を焼灼するカテーテルアブレーション治療を行っています。特に高齢者に多くみられる心房細動という不整脈は、昨今の高齢化に伴ってその患者数は激増しています。心房細動は脳梗塞や心不全の原因となるため早期発見と適切な治療が必要で、当院でも積極的にカテーテルアブレーション治療を行っています。当院の心房細動に対するカテーテルアブレーション治療では、従来の高周波(RF)や冷媒(Cryo)のような熱を介して心筋を焼灼する方法ではなく、短時間の周期(パルス)で高電場(パルスフィールド)を発生させ心筋を焼灼する最新の治療法であるパルスフィールドアブレーションを導入しています。従来の方法とは違い熱を発生しない治療法であるため心筋周囲組織(食道や横隔膜、肺静脈)に障害を与えることがなく治療することが可能で有効性・安全性ともに飛躍的に向上しました。


脈の遅い不整脈に対しては、心臓ペースメーカーの植込みを行っています。当院のペースメーカー植え込み術では最新治療であるCSP(Conduction System Pacing)を採用しています。従来のペースメーカーは右心室を刺激することが一般的でしたが、CSPは心臓の伝導系を刺激して自然な拍動を誘発する手法です。この手技により心臓の伝導系を温存することが可能で、より自然な心拍を保つことができます。
循環器内科は心臓という生命を支える根幹となる臓器を扱う分野で、治療は1分1秒を争うことも少なくありません。また急変現場に立ち会う機会や重症患者さんの診療に携わることも日常茶飯事です。特に急性心筋梗塞、不安定狭心症、急性心不全、急性肺動脈血栓塞栓症等の急性疾患の患者さんは深夜や早朝に発作を起こすことが多いため、その時間帯に搬送が集中しがちとなることから夜間帯も忙しい傾向にあります。これら急性疾患に対して24時間体制で対応するため、2026年6月現在私たちは9人体制で診療にあたっています。
私たち循環器内科は今後も当院の特色を生かし、地域に必要な質の高い医療を提供していきます。また専門医として近隣の病院や診療所と連携し、皆さんにとって最も適切な医療を提供できるよう提案させていただきます。
スタッフ紹介
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非常勤医師
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診療内容
どのような専門医がいるのですか?
日本内科学会総合内科専門医を有するもの3名、認定内科医7名、循環器専門医6名、救急医学会専門医1名、インターベンショ ン学会専門医1名、不整脈専門医1名、心臓リハビリテーション指導士1名、日本医師会認定産業医1名などです。
どのような症状のある方が循環器内科を受診するとよいのでしょうか?
よくある循環器疾患の症状として動悸(心臓がドキドキすること)、息切れ、胸の痛み、浮腫(顔や手足のむくみ)などがあります。健診での高脂血症、高血圧、心電図異常や、レントゲン写真での心拡大を詳しく調べるために来院される方も多くいらっしゃいます。
はじめて循環器内科を受診するにどうしたらいいの?
月曜日から金曜日まで午前8時00分(ブロック受付は午前8時15分)~午前11時までが初診の受付です。他の病院や診療所に通院している方はぜひ紹介状を書いて頂き持参してください。お薬や検査の重複を防ぐことが出来ます。
紹介状があったほうがいいの?
「かかりつけ医」をお持ちいただき、紹介状を持って受診してください。
国が進めている病院と診療所の機能分担とは、普段の健康維持の相談は診療所の先生、すなわち「かかりつけ医」が行ない、専門的な検査や入院が必要な治療は病 院が行なうという病状に応じた役割分担のことです。「かかりつけ医」は患者さんの病状によって病院へ紹介状を書き、患者さんはその紹介状を持って病院へ受 診していただきます。そして検査や必要な治療が終り容体が落ち着いたら、患者さんはまた「かかりつけ医」のところで治療を続けていただくことになります。 当科は今後もこうした国の定める制度に積極的に取り組み、地域医療の充実に貢献していきますのでなにとぞ御理解下さるようお願いいたします。
循環器内科へ患者さんを御紹介いただく先生方へ
月曜から金曜まで毎日医師が3人外来を担当しています。また、当院は常時救急患者さんを受け入れる体制となっていますので、御遠慮なく御紹介くだ さい。特に循環器疾患は急を要する病態が予想されますので、転送が必要な際は躊躇無く搬送下さい。この際、簡明な紹介状を付していただければ幸いです。
血管撮影装置について
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診療実績
入院・外来患者数
※表は横スクロールできます
| 2021年 | 2022年 | 2023年 | 2024年 | 2025年 | |
|---|---|---|---|---|---|
| 年間入院患者数(人) | 1,238 | 1,132 | 1,095 | 1,137 | 1,250 |
| 平均在院日数(日) | 6.9 | 7.8 | 6.7 | 8 | 7.5 |
| 年間外来患者数(人) | 17,297 | 16,061 | 14,586 | 14,363 | 14,466 |
| 年間緊急入院患者数(人) | 462 | 494 | 431 | 522 | 490 |
検査件数
※表は横スクロールできます
| 2021年 | 2022年 | 2023年 | 2024年 | 2025年 | |
|---|---|---|---|---|---|
| 冠動脈造影検査(件) | 714 | 621 | 585 | 619 | 661 |
| 冠動脈CT検査(件) | 237 | 256 | 236 | 189 | 196 |
| 核医学的検査(件) | 244 | 262 | 175 | 156 | 217 |
| 経胸壁心エコー検査(件) | 5,959 | 5,767 | 5,616 | 5,568 | 5,893 |
| 経食道心エコー検査(件) | 81 | 76 | 68 | 64 | 99 |
| 頸動脈エコー検査(件) | 1,003 | 792 | 875 | 890 | 974 |
心カテ年別患者件数
※表は横スクロールできます
| 2021年 | 2022年 | 2023年 | 2024年 | 2025年 | |
|---|---|---|---|---|---|
| 年別患者件数(人) | 1,072 | 922 | 862 | 899 | 992 |
虚血性心疾患(狭心症・心筋梗塞)に対する治療
※表は横スクロールできます
| 2021年 | 2022年 | 2023年 | 2024年 | 2025年 | |
|---|---|---|---|---|---|
| 経皮的冠動脈インターベンション(件) | 365 | 259 | 217 | 237 | 250 |
| 待機的治療総数(件) | 286 | 188 | 174 | 173 | 189 |
| 緊急治療総数(件) | 79 | 71 | 43 | 64 | 61 |
動脈疾患に対する治療
※表は横スクロールできます
| 2021年 | 2022年 | 2023年 | 2024年 | 2025年 | |
|---|---|---|---|---|---|
| 下肢動脈形成術(件) | 21 | 22 | 17 | 15 | 22 |
| 胸部大動脈ステントグラフト(件) | 7 | 10 | 8 | 4 | 0 |
| 腹部大動脈ステントグラフト(件) | 11 | 18 | 12 | 4 | 0 |
不整脈に対する治療
※表は横スクロールできます
| 2021年 | 2022年 | 2023年 | 2024年 | 2025年 | |
|---|---|---|---|---|---|
| 恒久的ペースメーカー植え込み術(件) | 56 | 51 | 43 | 51 | 44 |
| ICD・CRTD植え込み術(件) | 3 | 13 | 6 | 6 | 0 |
| 電気的焼灼術/アブレーション(件) | 52 | 59 | 54 | 76 | 87 |
心カテ年間別患者件数(9年推移)
※表は横スクロールできます
| 2017年 | 2018年 | 2019年 | 2020年 | 2021年 | 2022年 | 2023年 | 2024年 | 2025年 | |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 年間別患者件数 | 948 | 1,141 | 1,299 | 1,048 | 1,072 | 922 | 862 | 899 | 992 |
| ・期間は1/1~12/31の年間件数 【内訳】 |
|||||||||
| CAG | 590 (717) |
668 (846) |
764 (939) |
560 (729) |
539 (714) |
489 (621) |
482 (585) |
481 (619) |
554 (661) |
| PCI | 218 | 303 | 360 | 329 | 365 | 259 | 217 | 237 | 250 |
| PPI | 19 | 26 | 20 | 18 | 21 | 22 | 17 | 15 | 22 |
| ペースメーカー | 44 | 62 | 58 | 64 | 59 | 55 | 47 | 65 | 44 |
| アブレーション | 23 | 34 | 40 | 44 | 52 | 59 | 54 | 76 | 87 |
| EPSのみ | 4 | 3 | 1 | 1 | 2 | 1 | 1 | 0 | 2 |
| その他 | 58 | 55 | 84 | 56 | 65 | 59 | 54 | 57 | 60 |
・CAGの件数はCAG+PCIの件数は除外。( )の件数はCAG+PCIを含む。
・その他にはテンポラリーのみ・SWGのみ・IVCフィルタ・心嚢穿刺・DCなど

心臓リハビリ
心臓リハビリテーションって何?
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心臓リハビリテーション(略して心リハ)とは、弱くなった心機能を高めるため、あるいは低下した体力の回復、心臓病の再発予防や精神面(自信)の向上といった心臓に負荷がかかる要素を取り除きつつ心機能の強化をはかる治療のことです。これには、医師だけでなく、理学療法士や看護師、管理栄養士、薬剤師など多くの医療専門職が集まり、チームによる包括的心リハを行うことで生活全般を改善します。
主に、"第2の心臓"と呼ばれる下肢を適切な運動で鍛えるのですが、それだけでなく栄養面、お薬や生活に関する指導、カウンセリングなどを総合的に行い、快適で活動的な生活のための長期プログラムを行うことが主眼です。
具体的に行う運動は、ウォーキング、自転車漕ぎ(エアロバイク)、ゴムチューブなどを使った主に下肢の筋トレなどで、運動が苦手な人でも楽に取り組めるものです。例え『心臓に良い適切な運動』でも急に負荷がかかるようなことはしません。かえって急に強い運動をしたりすることは心臓に悪影響を及ぼす恐れがあります。

欧米では、この心リハを既に数十年前から積極的に行っています。なぜならば、心リハには大きな心機能改善効果が認められるからです。運動することによって酸素の取り込みがよくなり、運動能力も増加することで、楽に動けるようになります。血管内皮機能(血管が自分で広がる能力)がよくなり血液の循環がよくなり、狭心症や心不全の症状も軽くなります。またそれだけでなく、心筋梗塞の再発や突然死が3年間で約25%低下、心不全の死亡率や再入院率も減少、死亡率は56%減少し、再発を28%減らします。何よりも、気持ちのよい汗をかくことによって、不安やうつから解放されることもこの心リハのメリットです。さらに、生活習慣病の危険因子(血圧、血糖値など)が改善されることや、自律神経のバランスや働きがよくなることによって、血圧や脈拍が安定し不整脈が起きにくくなること、血液凝固因子が安定し、血栓ができにくくなるメリットもあります。まさに、究極の心臓病に対する治療法が心リハなのです。
しかし、心リハは、健康保険でカバーできる期間が開始から150日間と決められており、長期にわたる心リハが有効であることが分かっていながらできない現状がこれまでありました。そこで、長期にわたり心リハを維持・継続するために、岐阜県の協力のもとNPO法人岐阜心臓リハビリテーションネットワーク(「CR-GNet」といいます)が構築されています(代表:湊口信也)。CR-GNetは、プライバシーの保護を厳重に図りながら、医療機関(治療を行った専門病院、かかりつけ医)だけでなく、フィットネスクラブも参加したネットワークを構築し、医療情報その他の必要な個人情報を共有して、心リハの継続的な提供を長期にわたり可能にすることを目的としています。
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CR-GNetに参加されると、「すこやかハート手帳」が発行され、専門病院とかかりつけ医の間で受診状況や治療の経過などの情報が活用でき、緊密な連携が可能となります。なお、CR-GNetに参加しているフィットネスクラブでは、CR-GNetで定めた心リハの研修をうけたトレーナーが在籍しており、それぞれに適した運動を安全に行うことができるような体制で心リハを継続できます。この岐阜県の未来型の心リハシステムは、『岐阜モデル』として国内外から高く評価されています。
施設
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CPX(心肺運動負荷試験)の結果から得られた嫌気性代謝閾値に基づいた適正な運動処方による心臓リハビリテーションを行っています。
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ビデオを観ながらの準備体操、自転車こぎ(エアロバイク)での下肢筋肉強化、そしてゴムチューブなどを使った主に下肢の筋トレでクールダウンの運動を行います。
研究(循環器内科・心不全センターでの臨床研究)
研究課題名:
心疾患患者(冠動脈疾患、拡張型心筋症、弁膜症、心筋梗塞患者)における血漿microRNA145濃度の動態とその役割解明に関する研究
microRNAはnon-coding RNAすなわちタンパク質へ翻訳されないRNAの総称に分類されており、ほかの遺伝子の発現を調節するという生命現象において重要な役割を担っています。microRNA-145は、血管平滑筋の増殖を抑制することが知られているほか、以下のように障害心筋組織を修復する作用を示します。すなわち、我々は以前、ウサギ心筋梗塞モデルを用いて、microRNA-145を投与することにより、心筋梗塞サイズ縮小、心機能改善、左室リモデリング抑制をもたらすことを報告しています(Higashi K & Minatoguchi S, Am J Physiol Heart Circ Physiol 2015)。microRNAとは、細胞から分泌される分泌膜小胞の中に入っている。
現在進行中の臨床研究では、心疾患患者を対象として静脈血を採取し、血漿miRNA-145濃度を測定し、心エコーにて測定した心機能、左室内径、左室肥大、心カテデータと血漿microRNA-145濃度との関係を求め、microRNA145が心機能、左室リモデリング、冠動脈硬化に果たしている役割を明らかにすることを目的としています。特に、左室機能障害患者と血漿microRNA-145濃度との関係、急性心筋梗塞患者における血漿microRNA-145濃度の動態と慢性期心機能との関係を明らかにすることに焦点を絞った臨床研究を行っています。
研究課題名:
冠動脈疾患患者におけるMuse細胞動員に関する研究
Muse細胞とは、東北大学の出澤真理教授により2010年に発見された、我々の生体の中に存在する多能性幹細胞であり、内胚葉、中胚葉、外肺葉系細胞へ分化できることが報告されています。我々は以前、ウサギ心筋梗塞モデルで、多能性幹細胞のMuse細胞を静注したところ、Muse細胞は選択的かつ効率に心筋梗塞部位に生着し、心筋および血管に分化し、paracrine効果も加わり、著明な梗塞サイズ縮小、心機能改善、左室リモデリング抑制(左室内腔拡大抑制)が得られることを報告しています(Yamada Y & Minatoguchi S et al. Circ Res 2018)。さらに、急性心筋梗塞患者を対象とした臨床研究を行ったが、末梢血中Muse細胞数は急性心筋梗塞の急性期に増加し、Muse細胞数の増加がより高値である症例は6ヵ月後の慢性期の心機能改善、左室リモデリング抑制が認められましたが、末梢血中Muse細胞数が増加しない症例では、心機能改善、左室リモデリング抑制がみとめられないことを報告しました(Tanaka T & Minatoguchi S et al. Circ J 2018)。このことは、内因性Muse細胞が、心筋梗塞後の組織修復に関与していることを示しています。
現在進行中の臨床研究では、冠動脈疾患を対象として、末梢血を採血しFACSを用いて血中Muse細胞数を測定し、冠動脈狭窄の程度との関係を明らかにすることを目的としています。私たちの行った動物実験では、Muse細胞が血管に分化することを確認していることから、冠動脈疾患患者において、内因性Muse細胞は障害のある冠動脈の修復に関与していると考えています。
研修医の皆様(当科研修紹介)
はじめに
循環器内科では、"一般臨床から高度医療まで、守備範囲の広い医療を実践"することを主目標に掲げて日々研鑽しています。
当科での研修によって、循環器内科特有の刻々と変化する病態をダイナミックに診断・治療することができ、急性疾患の多くをこの研修で網羅できます。また、生涯に渡って必要な一般的な手技や医学知識だけでなく、医師として何が大切で何をすべきかが分かり、将来社会に貢献できる医師になれるよう全力を挙げて指導致します。
循環器内科は、虚血性心疾患や高血圧症などを生活習慣病としてとらえ、糖尿病、動脈硬化疾患、腎不全の予防などとの内科全般とも関連し、検査や治療にじっくり取り組んでいける点でも大変やりがいのある分野であるといえます。当科では、上級医・指導医の熱心な指導により、診察から検査、診断、治療にいたるまで一貫性を持って患者と関わることができます。
循環器内科は、内科の中でも中心分野の一つであるため、医師としての総合的な力が得られます。このため、最初は循環器内科医以外を目指していても、その後循環器内科に転向することや、その逆も比較的容易です。循環器内科はチーム医療を必要とするため、おのずからコメディカルも含めた連帯感は強く、厳しさの中にも家族的な雰囲気があります。
是非、循環器内科で研修していただき、1人でも多くの患者さんを一緒に助けましょう。
















