産婦人科 子宮脱(膀胱瘤、直腸瘤)に対するTVM手術、ロボット支援下仙骨膣固定術

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子宮脱(膀胱瘤)に対するTVM手術

TVMとはTension-free Vaginal Meshの略で、膣壁をメッシュ(網目状シート)でツッパリ感のない状態で支える手術方法です。
フランスで2000年に開発され2004年に論文発表された術式です。日本では2005年頃から開始されております。現在子宮脱(膀胱瘤(前の膣壁が下がってくるタイプ))の第一選択術式のひとつになっています。手術侵襲(患者様の負担)が少ないことと再発率が少ないこと(再発率は約5%です。)が利点です。もちろん合併症(膀胱や尿管の損傷、血腫、創部感染症(ばい菌が入り熱が出る)、尿閉(お小水が出しにくい)、尿失禁(お小水がもれる)、メッシュびらん(後になって膣壁等からメッシュが出てくる)等)の危険性はありますが、従来手術(膣壁を縫い縮める手術で子宮摘出を追加することもあります。)より危険という訳ではなく、事実上安全に施行できる手術です。
最初の前膣壁TVM手術は第1アームと第2アームを股間に通す術式でしたが、最近では第2アームを股間ではなく後膣壁TVM手術と同じお尻の方へ通すエレベート型、さらに第1アームを無くしたアップホールド型を実施しています。従って切開は膣壁以外にお尻に5mm程度を2箇所行うだけなので、傷は全く目立ちません。また自然にとける糸を使用していますので抜糸がありません。手術時間は1時間ぐらいで、入院期間は7日間(手術後5日目の退院)ぐらいです。術後お尻がしばらく痛いということがありますが日にち薬でよくなりますのでご安心ください。
また直腸瘤(後の膣壁が下がってくるタイプ)では後膣壁TVM手術と従来手術(後膣壁形成術)と効果に差がないとの報告があるため従来法が第一選択術式になっています。

メッシュの装着図

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子宮脱(膀胱瘤、直腸瘤)に対するロボット支援下仙骨膣固定術

仙骨膣固定術は膣壁をメッシュ(医療用の網目素材)で仙骨(おしりの骨)に吊り上げ固定する術式です。この歴史は古く、1957年にフランスでメッシュではなく生体筋膜を使用した開腹手術が最初です。1971年よりメッシュが使用されるようになり、1994年にはアメリカで最初の腹腔鏡下手術が行われました。以前はY字型メッシュで主に膣尖部を吊り上げる術式が一般的でしたが、2004年にフランスでダブルメッシュ(腟管の前後に2枚のメッシュを留置する術式)が考案され、日本でも2008年に日本医科大学で導入され、2012年に先進医療、2016年に保険診療が認められました。その後、腟管の後にはメッシュを入れずに縫い縮める術式が主流になっています。さらに2020年4月からロボット支援下手術が保険診療で認められ,全国的に普及しつつあり、現在子宮脱(膀胱瘤、直腸瘤)の最終的な術式になっていると思います。手術侵襲(患者様の負担)が少ないことと再発率が少ないことが利点です。また腹腔鏡下手術に比べ,肥満の方にも対応可能であり、手振れがない、3D立体視、多関節鉗子による骨盤の深いところでの操作性の向上により、より安全で安定した手術が可能です。もちろん合併症(膀胱や尿管や直腸の損傷、血腫、創部感染症(ばい菌が入り熱が出る)、尿失禁(お小水がもれる)、尿閉(お小水が出し にくい)、メッシュびらん(後になって膣壁等からメッシュが出てくる)等)の危険性はゼロにはなりませんが、従来手術(膣壁を縫い縮める手術で子宮摘出を追加することもあります。)、TVM手術(膣式のメッシュ手術)、腹腔鏡下仙骨膣固定術より危険という訳ではなく、事実上安全に施行できる術式です。欠点としては手術時間が長く3-4時間ぐらいかかることです。入院期間は7日間(手術後5日目の退院)ぐらいです。

メッシュの装着図

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イラストは日本医科大学の市川雅男先生のご厚意により引用させていただきました。(一部改変しております。)

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